妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorders of pregnancy: HDP)に罹患した女性は将来高血圧症のリスクが高いことが知られている。以前我々は、HDPに罹患した女性は出産5年後高血圧発症のリスクが高いことを報告したが、病型分類に準じた解析は行えていなかった。今年度は検診症例の集積により、妊娠高血圧腎症(preeclampsia: PE)41名と妊娠高血圧(gestational hypertension: GH)46名の産後5年後高血圧症発症頻度を正常血圧妊娠群(control: C)と比較検討した。 健診時年齢(歳)はPE 40.7±5.7、GH 41.7±4.4、正常血圧妊娠群 38.9±3.9、健診時BMI(kg/m2)はPE 22.0±3.5、GH 22.0±3.2、C 20.6±2.9といずれもPE・GHで有意(P<0.05)に高かった。妊娠前BMIはPE 20.8±3.0、GH 21.0±3.0、C 20.1±2.5であり、GHで有意に高かった。 5年後血圧値(mmHg)はPE 111.0±13.3/ 72.3±10.8、GH 120.0±18.4/ 78.4±12.4、C 108.4±10.1 mmHg / 69.1±8.1 mmHgであり、PEの拡張期血圧とGHの収縮期・拡張期血圧が有意に高かった。5年後健診で高血圧症ありと診断された女性はPEで4名(9.8%)、GHで14名(34.0%)、Cで19名(2.5%)であった。 産後5年後高血圧発症オッズ比は、PEで4.1 [95%CI: 1.2-11.7; p=0.03]とGH16.7 [7.6-36.4; p<0.01]と有意に高かったが、PEにおいては分娩時年齢、妊娠前BMIまたは健診時年齢、健診時BMIで調整後は有意差が消失した。
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