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2017 年度 実施状況報告書

家族性進行性核上性麻痺における遺伝子解析研究に基づいた進行性核上性麻痺の病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K09663
研究機関北海道大学

研究代表者

矢部 一郎  北海道大学, 医学研究院, 准教授 (60372273)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード進行性核上性麻痺 / タウオパチィー / タウ
研究実績の概要

進行性核上性麻痺(PSP)は孤発性疾患であるが、まれに家系内に複数の発症者をみた家系も報告されている。われわれは、認知症とパーキンソン症状を主な症状とし臨床的に進行性核上性麻痺と診断し、病理学的に海馬、淡蒼球、視床下核、黒質の神経変性を伴い、3リピートと4リピートのタウ蛋白の蓄積を伴う家族性神経変性疾患があることを見出した。この家族歴のある患者を対象に過去にPSPの原因遺伝子として報告されている遺伝子やパーキンソン病や認知症の原因遺伝子などを含む50遺伝子を候補遺伝子として解析したが、それらの遺伝子には原因となる変異を認めなかった。そこでさらに、全エクソーム解析および連鎖解析を実施し、bassoon(BSN)遺伝子に発症者特異的にミスセンス変異が存在することを見出した。bassoon蛋白は神経終末アクティブゾーンに存在する巨大蛋白質である。さらに孤発PSP患者 41名を対象に解析したところ、4名の患者において3種類のミスセンス変異が認められた。これらの遺伝子変化は健常者データベースには記載が無いか、あっても0.5%以下のまれな変化であった。次いで、遺伝子変化を導入した変異型ラットBSN遺伝子と野生型ラットBSN遺伝子を導入したHEK293T細胞でタウ蛋白を比較検討すると、遺伝子変化を導入した細胞で不溶性のタウ蛋白が多く存在することが見出され、この遺伝子変化により不溶性のタウ蛋白が蓄積することが確認された。この結果を踏まえて、現在この遺伝子変化のPSP病態への関与について共同研究が進捗中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

北海道大学で実施された先行研究の結果を示す。家族歴のある患者を対象に過去に進行性核上性麻痺の原因遺伝子として報告されている遺伝子やパーキンソン病や認知症の原因遺伝子などを含む50遺伝子を候補遺伝子として解析したが、それらの遺伝子には原因となる変異を認めなかった。そこでさらに、全エクソーム解析および連鎖解析を実施し、bassoon(BSN)遺伝子に発症者特異的にミスセンス変異が存在することを見出した。進行性核上性麻痺と臨床診断された孤発例患者 41名を対象に解析したところ、4名の患者において3種類のミスセンス変異が認められた。これらの遺伝子変化は健常者データベースには記載が無いか、あっても0.5%以下のまれな変化であった。次いで、遺伝子変化を導入した変異型ラットBSN遺伝子と野生型ラットBSN遺伝子を導入したHEK293T細胞でタウ蛋白を比較検討すると、遺伝子変化を導入した細胞で不溶性のタウ蛋白が多く存在することが確認された。

今後の研究の推進方策

家族例の病理学的所見では、障害部位は進行性核上性麻痺に類似するが3+4リピートタウが蓄積しtufted astrocyteが認められてないことから、進行性核上性麻痺とは異なるタウオパチーと考えられるが、臨床的に孤発性進行性核上性と診断された患者の約10%にBSN遺伝子変化を伴っていたことから、JALPAC(Japanese Longitudinal Biomarker Study in PSP and CBD)を基盤とした生体試料を対象としたconfirmation studyが急務であり、現在共同研究が進捗中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Mutations in bassoon in individuals with familial and sporadic progressive supranuclear palsy-like syndrome2018

    • 著者名/発表者名
      Yabe I, Yaguchi H, Kato Y, Miki Y, Takahashi H, Tanikawa S, Shirai S, Takahashi I, Kimura M, Hama Y, Matsushima M, Fujioka S, Kano T, Watanabe M, Nakagawa S, Kunieda Y, Ikeda Y, Hasegawa M, Nishihara H, Ohtsuka T, Tanaka S, Tsuboi Y, Hatakeyama S, Wakabayashi K, Sasaki H
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 8 ページ: 819

    • DOI

      10.1038/s41598-018-19198-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mutations in bassoon in individuals with familial and sporadic progressive supranuclear palsy-like syndrome2017

    • 著者名/発表者名
      Yabe I, Yaguchi H, Kato Y, Miki Y, Takahashi H, Tanikawa S, Shirai S, Takahashi I, Fujioka S, Watanabe M, Nakagawa S, Kunieda Y, Ikeda Y, Hasegawa M, Nishihara H, Tanaka S, Tsuboi Y, Hatakeyama S, Wakabayashi K, Sasaki H
    • 学会等名
      23rd World Congress of Neurology
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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