研究課題
基盤研究(C)
申請者は家族歴を有する進行性核上性麻痺(PSP)の家系例を対象に連鎖解析とエクソーム解析を行い、Bassoon(BSN)遺伝子の変異によりタウオパチーが発症する可能性があることを発見した。同時に、BSN遺伝子変異による病理像は3リピートと4リピートのタウ蛋白質が蓄積するタウオパチーであり、臨床像とあわせてこれまでの既存の報告にない病態であることも示し、加えて臨床的に孤発PSP症例のうちおよそ10%にBSN遺伝子変異を有することも報告した。それらの結果を踏まえ分子生物学的手法を用いて、BSN遺伝子変異がタウ蛋白質を不溶性分画に移行させる病原性があることも示した。
神経内科学、神経遺伝学、神経病理学
世界で初めてBSN遺伝子と神経変性の関係を見出した研究である。本研究を引用しBassoon proteinopathyという疾患概念も提唱されつつある(Schattling B, et al. Nat Neurosci 2019; 22: 887-896) 。加えて、多系統萎縮症や多発性硬化症などの他の神経変性疾患との関連も示唆されつつある。これらのことから神経変性病態解明に向けて新たな機序が見出される可能性があり、その意義は大きいと考える。