本研究では,ラット大脳皮質由来初代神経培養細胞を用いて,興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の添加濃度及び時間を段階的に設定し,アミロイド前駆体タンパク(APP)のprocessingを解析した.グルタミン酸100μMでは添加2時間で全長型APPの発現が一過性に低下し,これに伴いAPP C末端断片β(CTFβ)も発現が低下した.一方,グルタミン酸0.1μMでは添加2時間でCTFβの発現増加,添加24時間でAβの増加がみられた.さらにこのAβの増加はNMDA受容体を阻害することで抑制された.これらの結果から,持続的な神経興奮の抑制がアルツハイマー病の新たな治療ターゲットとなることが示唆された.
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