研究課題/領域番号 |
16K09672
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山門 穂高 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378771)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 |
研究実績の概要 |
多系統萎縮症(Multiple system atrophy: MSA)、レビー小体病型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)、正常高齢者の脳サンプルよりエクソソームと不溶性成分を抽出し、その性質を、特に不溶化αシヌクレインを中心に解析した。また、αシヌクレイン(αsyn)-GFP(green fluorecent protein)融合タンパク質をレンチウイルスで発現させ,FACS (fluorecent activated cell sorting)で精製した神経細胞・オリゴデンドロサイトの各細胞株への取り込みと凝集体形成を、まずは人工的に合成したαシヌクレインフィブリルを用いて比較検討した。またオリゴデンドロサイト特異的なαシヌクレイン蓄積を説明する可能性としてαシヌクレインの種(seed)による違いを検討するため、金属イオン、オリゴデンドロサイト特異的膜蛋白、上記疾患脳の不溶性成分をシード形成に用いた合成αシヌクレインフィブリルを作成し、上記と同様の実験を行った。 エクソソームの取り込みは多くがダイナミン依存性であり、In vivo, In vitroにおける凝集形成に対して、FDA承認の抗うつ薬であり、強力なダイナミンGTPase阻害作用を持つsertralineの効果を検証するため、αシヌクレインの凝集と伝播を経時的に観察できるマウスを作製した。方法として、人工的に合成したマウスのαシヌクレインフィブリルをマウスの片側線条体にinjectionし、抗リン酸化αシヌクレイン抗体で染色し伝播を確認した。このマウスに上記化合物を経口的に同時投与し、MSA治療薬としての可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記載の通り概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
多系統萎縮症(MSA)、レビー小体病型認知症(DLB)、正常高齢者の脳サンプルよりエクソソームと不溶性成分を抽出し、それぞれのαシヌクレインシード形成能をより高感度にモニターできる細胞株を作製する。また、それぞれのサンプルをαシヌクレインのBACトランスジェニックマウスに投与し、in vivoにおけるαシヌクレイン凝集形成・伝播能力を検証する。さらに、オリゴデンドロサイト特異的なαシヌクレインの伝播メカニズムを解明するため、PLP(proteolipid protein)に対する抗体を用いた免疫法で精製したオリゴデンドロサイト由来のエクソソームを精製し、in vitro、in vivoの系でオリゴデンドロサイト特異的凝集形成を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
オリゴデンドログリア特異的エクソソームの単離をH28年度に行うこととなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
オリゴデンドログリア特異的エクソソームの単離に必要な抗体を購入する。
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