研究課題
環境毒ロテノン慢性皮下投与パーキンソン病モデルマウスを用いて,中枢および末梢の神経障害ならびにアストロサイト(様グリア細胞)における抗酸化分子の発現変化とその賦活による影響について検討した.雄性C57BL/6Jマウス(8週齢)に低用量ロテノン(2.5 mg/kg/day)を4週間慢性持続皮下投与したところ,黒質ドパミン(DA)神経細胞および腸管筋間神経叢の有意な脱落がみられた.また,ロテノン慢性皮下投与マウスにコーヒー成分であるカフェイン酸(CA: 30 mg/kg/day)あるいはクロロゲン酸 (CGA: 50 mg/kg/day)をロテノン投与開始の1週間前からロテノン投与期間中の計5週間,連日経口投与を行った.その結果,CAあるいはCGA投与により,ロテノンによる黒質DA神経および腸管筋間神経叢の変性脱落が有意に阻止された.さらに線条体および腸管のアストロサイト(様グリア細胞)における抗酸化分子メタロチネイン(MT)の発現変化を検討したところ,CA,CGA投与により線条体アストロサイトにおけるMT発現が有意に増加した.ロテノン投与マウスの腸管切片ではCA, CGA投与によるMT発現変化を捉えることができなかったが,15日齢SDラット胎仔の腸管からの初代培養細胞を用いて検討したところ,低用量ロテノン(1-5 nM)曝露により腸管グリア細胞におけるMT発現が低下すること,CAあるいはCGA処置により,このロテノンによるMT発現低下が減弱されることがわかった.以上の結果より,低用量ロテノン曝露であってもDA神経障害および腸管神経障害が惹起され,これらの部位におけるグリア細胞での抗酸化分子発現誘導により神経障害を阻止しうることが明らかとなった.
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 ページ: 598~598
doi:10.3390/ijms20030598
Cells
巻: 8 ページ: 221~221
doi:10.3390/cells8030221
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 138 ページ: 192~197
doi: 10.1016/j.jphs.2018.10.001
http://www.okayama-u.ac.jp/user/mnb