研究実績の概要 |
家族集積が濃厚な既知の病的遺伝子変異を持たない常染色体優性遺伝形式の一家系に注目した。患者3名は典型的なパーキンソン症状を呈していた。この家系の3名のDNAへ、アジレント社SureSelectXT HumanAllExon V5+UTRs Kitを用いてエクソン領域を濃縮し、イルミナ社HiSeq2500シーケンサーで100 bp pair endシーケンスを実施した。すべてのvariantを拾い上げ、Burrows-Wheeler AlignerとGRCh37 human reference genomeを使用して、シーケンス配列をアライメントし、GATK (version 4.0.1.1)とANNOVARを使用してvariantのアノテーションを行った。病的変異の抽出法として、non-synonymous variant→頻度0.1%以下→heterozygous variant→患者3名で共通のvariantを絞り込み、46の候補遺伝子を同定した。次に他の家族性PD群内の頻度を見るため、候補遺伝子全てのエクソン領域をカバーするプライマーを設計し、IonPGMを用いて50名の家族性PDについて変異スクリーニングを行った。結果、50名中17名の患者から10の病的遺伝子候補に相当するrare variantを同定した(AHDC1, AP2A2, FBLN2, KIAA0947, NRAP, OLFML2B, TM6SF1, FLG-AS1, HMCN2, MUC19)。さらにサンガー法にて実際に遺伝子変異の有無を確認したところ、AHDC1, AP2A2, KIAA0497、HMCN2に変異の存在を確認した。In silico解析にてアミノ酸変換にてFLG-AS1, HMCN2, MUC19の3つへ絞り込みをかけた。今後はこの3つの遺伝子に対して、頻度解析を行う。
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