研究課題/領域番号 |
16K09683
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
紀 嘉浩 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (80415140)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポリグルタミン / ALS/FTD / リピート伸長疾患 / RNA結合タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究では、ALS/FTDで高頻度に見られる変異であるC9orf72のリピート伸長変異を対象とし、伸長したリピートから生じるジペプチドリピートタンパク質と結合するタンパク質に注目する。このようなタンパク質は既に多種報告があるが、本研究では特に、ポリグルタミン病とも共通に関連し得るタンパク質に焦点を当てる。前年度までに、GGGGCCリピートに由来するジペプチドリピート(DPR)タンパク質のうち最も凝集性の高いGAリピートに注目し、その凝集体に集積するタンパク質を探索した。生化学的なアプローチと候補タンパク質を用いたアプローチを併用し、2種のタンパク質がGAリピートおよびポリグルタミン両者の新規結合タンパク質の候補として得られた。本年度は、このうち1つのタンパク質に注目し、Flagタグを付加して安定発現細胞株を作製した。このタンパク質は通常核内に局在するが、GAリピートの細胞質凝集体が存在すると、核内から消失しGAリピート凝集体と共局在した。また、Flagタグを用いた免疫沈降と質量分析により結合タンパク質を同定した。この結合タンパク質も部分的にGAリピート凝集体と共局在を示した。現在、両タンパク質の機能的な関係や、細胞毒性との関連を調べているところである。また、GGGGCCリピートを薬剤誘導性に発現できる細胞株を作製した。この細胞系を用いて、伸長RNAまたはDPRタンパク質の発現や蓄積に影響する因子のアッセイ系とすることが期待できる。さらに、リピートRNAの細胞内局在の可視化を容易にするため、蛍光性アプタマーとリピートRNAを融合したコンストラクトを作製した。今後、各種リピートRNAの細胞内局在やRNA凝集体の形成に影響する因子の解析に利用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室主任の体調不良により、研究以外の業務負担が一過的に増大したため。
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今後の研究の推進方策 |
候補遺伝子の解析を進め、異常伸長リピート産物とどのように関わるかを細胞レベルで明らかにし、次いで動物モデルでの検証に移りたい。また、新たなアッセイ系がいくつか樹立できそうな見込みであるので、これらを有効に活用し、各種リピート産物に影響する新規分子の発見に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の前半、所属長の体調不良による不在のため、研究以外の業務負担が増大し、研究遂行に遅れが生じたため。時間的に遅れてはいるものの研究の進行自体は順調であるため、次年度においてこれまで予定していた実験を行い、研究費を使用する。進行の程度によっては実施期間の延長も含めて対応する。
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