研究実績の概要 |
シュワン細胞内のTTR凝集の研究 1) FAP TTR E61Kの腓腹神経パラフィン切片を用いて、TUNEL法でフルオレセイン標識抗ジゴキシゲニン抗体による蛍光免疫染色を試行した。ネガティブコントロールとして酵素のみを除いて反応させた標本を作製した。蛍光顕微鏡による観察では神経縦断面、横断面とも神経内膜に多数のTUNEL陽性細胞が観察され、神経内膜細胞のアポトーシスが認められた。腓腹神経の電子顕微鏡による観察では多数の無髄シュワン細胞に凝集核を認め、細胞質の縮小を見ることができ、シュワン細胞アポトーシスが確認できた。市販の抗活性カスペース3抗体でさらにアポトーシスを確かめようとしたが、本抗体では有意なシグナルは得られなかった。昨年度報告した神経内膜TTR陽性細胞の存在から、シュワン細胞内TTR凝集がアポトーシスを惹起している可能性が示唆された。2) E61K TTRのアミロイド形成能を、チオフラビン結合測定を用い調べた。その結果 E61K TTRはWild-type (WT) TTRと同程度、V30M TTRより軽度のアミロイド形成能を有していた。
異型TTRの感覚神経細胞への影響の検討 ラットDRG由来の感覚神経細胞を、WT TTR, V30M TTR, E61K TTRを各々加えた無血清培地で、48時間培養し、抗beta III-tubulin抗体で免疫細胞染色し、神経突起の長さを測定した。これまでの研究結果と同様、V30M TTR添加では神経突起成長抑制が見られたが、E61K TTR添加では神経突起成長抑制は観察されなかった。以上からE61K TTRの神経細胞毒性は確認できなかった。
|