研究課題/領域番号 |
16K09690
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長野 清一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40362727)
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研究分担者 |
永井 義隆 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (60335354)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | TDP-43 / リボソーム蛋白質mRNA / 軸索輸送 / 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭葉変性症 |
研究実績の概要 |
①ALS/FTLDモデルマウスに対するリボソーム蛋白質の保護効果の解析 ALS/FTLDモデルマウスを用いたリボソーム蛋白質の発現増加による神経保護効果を検証するため、患者関連変異型TDP-43およびリボソーム蛋白質翻訳促進因子である遺伝子Xを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを生直後のマウス側脳室内に投与し、TDP-43過剰発現による運動症状出現の有無を経時的に観察した。投与後数ヶ月経った現時点で明らかな症状はみられておらず、今後引き続き観察を行うとともに、他の方法によるモデルマウスの確立を目指す。 またリボソーム蛋白質の発現を増加させる化合物をリボソーム蛋白質遺伝子プロモーター領域を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイを構築してライブラリーからのスクリーニングにより検索している。この系を用いて陽性対照として種々のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を添加してその発現促進効果を検討した結果リボソーム蛋白質の発現が増加することが確認され、今後この系を用いた新規化合物スクリーニングを行う予定である。 ②ALS/FTLD患者由来神経細胞におけるTDP-43細胞内局在、軸索内リボソーム蛋白質mRNA輸送、蛋白質翻訳能と神経変性との関連解析 対照健常人およびTDP-43遺伝子変異を持つALS患者の線維芽細胞をPTBP1遺伝子の発現低下を介したdirect reprogrammingにより神経細胞へと分化させることができた。ALS患者由来の神経細胞は健常対照と比較してTDP-43の細胞質での発現がやや多い傾向にあり、神経突起伸長が障害されていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在まだALS/FTLDモデルマウスが確立できておらず、今後いくつかの方法を用いて確立を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
今後ALS/FTLDモデルマウスの確立と合わせ、リボソーム蛋白質の発現を促進する化合物のスクリーニングを順次行っていき、新たなALS/FTLDの治療薬の開発を目指す。また患者剖検組織を用いたリボソーム蛋白質mRNAの解析を行い、ALS/FTLDの病態におけるリボソーム蛋白質mRNAの軸索輸送障害の意義につき検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) ALS/FTLDモデルマウスの確立、リボソーム蛋白質発現促進化合物のスクリーニングにやや手間取っており、その解析に必要な経費の支出がまだ行われておらず、支出額が当初計画よりも少なかった。 (使用計画) 次年度は効率的に研究を進め、本年度分と合わせて経費を支出する予定である。
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