研究課題
・CIDP患者の臨床・生体試料データベースの構築:自己の末梢神経髄鞘もしくは傍ランビエ絞輪部への過剰な免疫応答が推定されるCIDPは、治療反応性を含む表現系の多様性から症候群と考えられる。標準的診断基準は種々の亜型を定義するが、これらの内訳や治療反応性などの知見は不明である。私たちは全国16施設によるコンソーシアム (CIDP-J) を構築し、CIDPのデータベースを構築した。新規登録症例94例に加え、すでに診断の確定した114例の計208例について、臨床・電気生理・血清/髄液・DNA/RNAサンプルの集積を完了した。前向きコホートに限定した亜型内訳は典型的CIDP66%、多巣型 (MADSAM) 14%、遠位優位型 (DADS) 18%、感覚型2%、局所型ないし純粋運動型は確認されなかった。また自己抗体陽性頻度は13.8% (NF155:10.6%, LM1:3.2%, CNTN1:0%)であり、自己抗体の有無を含めた前向き報告は国内外初である。とくに頻度の高いIgG4 NF155抗体陽性例は、典型的CIDPもしくはDADSの障害分布と特有の 臨床像(若年発症、感覚性運動失調、振戦、髄液蛋白高値)を呈した。NF155は傍ランビエ絞輪部に特異的に局在すること、また補体や炎症細胞の浸潤を伴わない障害機序が想定されることから、今後は自己抗体そのものを抑制する新規治療法開発が不可欠と考えられた。・免疫介在性ニューロパチーモデルの解析と免疫グロブリンの反応性検証:NOD B7-2 knockoutマウスの運動障害の特徴や病理所見は、慢性進行性の脱髄性ニューロパチーが示された。CIDPのファーストラインであるIg投与はマクロファージやCD4/CD8両者のリンパ球抑制効果が示された。今後は本マウスに免疫調整作用が期待される各種候補物質を投与することで、新規治療薬開発が期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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