研究課題
我々はニコチン作動性アセチルコリン受容体(nAChR)α3/β4サブユニットに対する自己抗体の測定系を樹立し,この自己抗体を血清中に認める自己免疫性自律神経節障害(AAG)が我が国では予想を超えて数多く存在することを報告し,臨床面から解析してきた.しかし以下の点が不明のままである.1)なぜAAG以外の神経疾患にて本抗体陽性症例が存在するのか,2)本抗体陽性症例では同時に高率に中枢神経症状,感覚障害,内分泌障害を来すのはなぜか.本研究では本疾患の病態解析に大きな鍵を握る.本研究ではnAChRに対する自己抗体が介在する多様な臨床病態を明らかにすることである.本研究ではAAGの限局型として一部の体位性起立性頻脈症候群や自己免疫性消化管運動障害,無汗症が含まれ得ることを報告し,小児AAG症例の臨床的特徴や膠原病各種における抗gAChR抗体陽性症例における自律神経障害など,多様な臨床像の一端を見出した.またAAGにおいては自律神経障害以外の症候,われわれがextra autonomic manifestationsと呼ぶ中枢神経障害,感覚障害,内分泌障害,膠原病や腫瘍との並存については抗gAChR抗体の約80%でこれらのいずれかが陽性となることを報告し,病態解明に向けての努力を継続している.また基礎的研究としてはgAChRのalpha3サブユニット免疫による動物モデル作製に取り掛かっており,この能動免疫モデルで自律神経障害を認めている.今後,自律神経系と自律神経系以外の障害について解析を進めていく予定である.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 7件)
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