研究課題/領域番号 |
16K09698
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
吉田 誠克 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90457987)
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研究分担者 |
水野 敏樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30264782)
水田 依久子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80397760)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳白質疾患 / 小血管病 / エキソーム解析 / 遺伝性疾患 |
研究実績の概要 |
成人期発症脳白質疾患の新たな原因遺伝子の同定と疾患単位の確立、病態解明および治療法開発への応用を目的に計画した。GFAP遺伝子およびNOTCH3遺伝子検査の目的で当施設に依頼された検体のうち、1)両遺伝子検査とも陰性の症例で、家族内発症あるいは孤発性で家系内の複数の検体が得られている、2)画像検査にて共通する所見が認められる複数の孤発症例、の条件を満たす症例を抽出して以下の群でエキソーム解析を行った。 1) 頭部MRIにて小血管および白質病変を前側頭極に認める常染色体優性遺伝形式が想定されるA家系(発症者3名、未発症者2名)と類似の画像所見を認める60歳未満発症の家族歴を有する別家系24検体。A家系の発端者のみが保有する変異を抽出し、in-house data、Effect impact ≧low、MAF>0.01にて候補遺伝子を81個に絞り込んだ。さらに機能予測ソフトおよびOMIMを用いて候補遺伝子の絞り込みを進めている。 2)progressive ataxia with palatal tremor (PAPT)の臨床表現型を示す6例。in-house data、Effect impact ≧lowを用いてそれぞれ372-428個に候補遺伝子を絞り込んだ。続いて両側下オリーブ核肥大をきたす疾患にて報告されている遺伝子および遺伝性脊髄小脳変性症の通常変異、ミトコンドリア関連遺伝子、グリア関連遺伝子に対して候補遺伝子アプローチを行った。さらに効果が中等度以上の稀な変異を想定して疾患関連遺伝子の検索を進めている。 3)1例においてラミニン関連遺伝子に病原性が想定されるホモ接合体変異を同定した。本遺伝子は皮質形成異常を伴う白質脳症で報告がみられるが、成人発症の大脳白質疾患の報告はなく新たな臨床表現型が推定される。引き続きトリオ解析ならびに機能解析を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)A家系に対して候補遺伝子を81個まで絞り込み、今後機能予測ソフトおよびOMIMを用いてさらに候補遺伝子の絞り込みを進めている。絞り込み後に機能解析を進める予定である。 2)PAPT6症例は少なくとも既知の遺伝子変異を保有していなかった。さらに候補遺伝子アプローチおよび症例間で共通のまれな変異を想定した疾患関連遺伝子の検索を進めている。 3)新たに同定したLaminin familyに関連する遺伝子の病原性が想定されるホモ接合体変異に対してトリオ解析ならびに機能解析を計画している。 以上の点より疾患関連遺伝子を同定して機能解析までを予定していた当初の計画と比較すると進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)機能予測ソフトおよびOMIMを用いてさらに候補遺伝子の絞り込みを進めている。絞り込み後に機能解析を進める。 2)候補遺伝子アプローチおよび症例間で共通のまれな変異を想定した疾患関連遺伝子の検索を進める 3)トリオ解析にて病原性変異の確認を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
候補遺伝子の絞り込みに時間を要し、当初予定していた機能解析のための抗体・培養試薬の購入が見積もり時と比べて少なかったため。
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