研究課題
成人期発症脳白質疾患の新たな原因遺伝子の同定と疾患単位の確立、病態解明および治療法開発への応用を目的に計画した。GFAP遺伝子およびNOTCH3遺伝子検査の目的で当施設に依頼された検体のうち、1)両遺伝子検査とも陰性の症例で、家族内発症あるいは孤発性で家系内の複数の検体が得られている、2)画像検査にて共通する所見が認められる複数の孤発症例、の条件を満たす症例を抽出して以下の群でエキソーム解析を行った。1) ラミニン関連遺伝子に病原性が想定されるホモ接合体変異を同定した。両親はヘテロ接合変体変異を保有していたが、神経学的異常所見を認めないことを確認した。本遺伝子変異により皮質形成異常を伴う小児期発症白質脳症が報告されているが、成人発症の報告はなく新たな臨床概念を確立した。2) 頭部MRIにて小血管および白質病変を前側頭極に認める常染色体優性遺伝形式が想定されるA家系(発症者3名、未発症者2名)と類似の画像所見を認める60歳未満発症の家族歴を有する別家系24検体。A家系の発端者のみが保有する変異を抽出し、in-house data、Effect impact ≧low、MAF>0.01にて候補遺伝子を81個に絞り込んだ。2)progressive ataxia with palatal tremor (PAPT)の臨床表現型を示す6例。in-house data、Effect impact ≧lowを用いてそれぞれ372-428個に候補遺伝子を絞り込んだ。続いて両側下オリーブ核肥大をきたす疾患にて報告されている遺伝子および遺伝性脊髄小脳変性症の通常変異、ミトコンドリア関連遺伝子、グリア関連遺伝子に対して候補遺伝子アプローチを行った。データを更新して絞り込みを継続する。
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Neurology Genetics
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