研究課題
パーキンソン病 (PD) は静止時振戦・筋固縮・無動症・姿勢反射障害などを呈する神経難病で、現在日本には14-15万人の患者が存在する。PDはほとんどが孤発性だが全患者の5-10%には家族歴がある。このような遺伝性PDを対象に分子遺伝学研究を行った結果、PD発症に関わるさまざまな遺伝子が単離されている。新規優性遺伝性PDの原因遺伝子CHCHD2は家族性パーキンソン病の原因であるだけでなく、孤発性PDの発症感受性遺伝子でもある。CHCHD2はハンチントン病、低酸素負荷(脳血管障害)、がん、滑脳症などさまざまな疾患で発現量の変化が報告されているが、ゲノム的アプローチから疾患を解析した報告はまだ乏しいままである。本研究ではCHCHD2と神経変性疾患のゲノム的関連を明らかにする目的で、筋萎縮側索硬化症、レビ-小体型認知症、認知症を伴うパーキンソン病、多系統萎縮症について大規模ゲノム解析を実施する。本年度は次世代シークエンサー(Ion PGM)システム用のパーキンソン病パネルを作成し、パーキンソン病300症例についてCHCHD2遺伝子解析を行った。検出されたバリアントについて公共データベースに登録されているか否か、Polyphen2などを用いてバリアントによるCHCHD2タンパク質の病的影響が予測されるか否かを検討した。結果、新たの変異は検知されなかった。Ion Chef, Ion PGM, Ion Reporter の連携運用によりライブラリ作成およびテンプレート作成からデータ解析まで全自動で行うシステムを構築した。また、レビ-小体型認知症、認知症を伴うパーキンソン病、多系統萎縮症については、現在所有の症例数が少ないため、所属施設で症例の追加収集を積極的に行っている。
2: おおむね順調に進展している
計画とおり、あらたにパーキンソン病300症例についてCHCHD2遺伝子解析を行い、検出されたバリアントについて相関検討ができたので、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
筋萎縮硬化症、レビー小体型認知症、認知症を伴うパーキンソン病、多系統筋萎縮症について解析対象をふやし、CHCHD2遺伝子と神経変性疾患のゲノム的関連を明らかにする。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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