研究課題/領域番号 |
16K09710
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
叶内 匡 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50345287)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / プリオン様伝播仮説 / 病変進展 / 疾患進行パターン / 電気生理 / local progression / regional spread |
研究実績の概要 |
1.上肢に初発した筋萎縮性側索硬化症患者28名において、発症肢における複合筋活動電位の低下速度(local progression time)と上肢から他身体領域への症状進展速度(regional spread time)との関係に基づく定量的な疾患進行パターンと、針筋電図による下位運動ニューロン障害の分布パターン(連続型、不連続型、びまん型)との関係について検討した。Local progression time と regional spread time との間に、28名の全例解析では有意な相関関係を認めなかった。28名のうち、針筋電図による障害分布パターンを決める上で必要な全ての筋についての検査を完遂できた患者は8名で、連続型が3名、不連続型が2名、びまん型が3名であった。このうち、連続型のみ local progression time と regional spread time との間に正の相関がみられ、かつ連続型3名の臨床病型は全例 Flail arm type であった。少数例での解析であるため、確定的なことを述べるにはまだかなり不十分ではあるが、flail arm type のこれら疾患進行・障害パターンは、病因タンパク質のプリオン様伝播による疾患進行仮説に矛盾しない可能性が示唆された。 2.上位運動ニューロン障害を定量化するための tripple stimulation technique による経頭蓋磁気刺激検査は、技術上克服すべき問題点のあった下肢領域の検査について、予備的実験を繰り返した結果、一応の解決をみた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Tripple stimulation technique を用いた経頭蓋磁気刺激検査による上位運動ニューロン機能の評価に関して、下肢領域における技術的な問題点の克服に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
1.Tripple stimulation technique を用いた経頭蓋磁気刺激検査について下肢領域における技術的な問題点が解決されたため、今後、当初の計画どおり、当検査の健常コントロールによる正常値作成とともに、患者での検査を行っていく。 2.Local progression time と regional spreag time との関係による疾患進行パターンと、針筋電図による下位運動ニューロンの障害分布パターンとの関係に関しては、さらに症例を蓄積して解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) Tripple stimulation technique を用いた経頭蓋磁気刺激による上位運動ニューロン機能の評価法において技術的な問題点が判明し、その解決に時間を要したため、健常人を対象とした正常値の作成を延期していた。 (使用計画) 技術的問題点が解決したため、当初計画していた健常人における正常値の作成を進める。
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