研究課題/領域番号 |
16K09710
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
叶内 匡 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50345287)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / プリオン様伝播仮説 / 病変進展 / 定量的疾患進行パターン / Local progression / Regional spread / 電気生理学的検査 |
研究実績の概要 |
1.発症肢における複合筋活動電位の低下速度(local progression time; LPT)と発症肢から他身体領域への症状進展速度(regional spread time; RST)に基づく定量的な疾患進行パターンと、針筋電図による下位運動ニューロン障害の分布パターン(連続型、不連続型、びまん型)との関係について検討するため、症例の蓄積を続けている。解析に必要な全ての筋について針筋電図検査を完遂できた筋萎縮性側索硬化症患者は22例。このうち、LPT-RSTによる定量的疾患進行パターンとの関係をみることのできる症例は、上肢発症4例(本研究課題以前にデータベースに登録済の症例7例を合わせると計11例)、下肢発症4例であった。この全15例の針筋電図による下位運動ニューロン障害の分布パターンは、連続型4例、不連続型4例、びまん型7例で、LPT-RSTによる疾患進行パターン定量値は3群で有意な差を認めなかった(ANOVA, p=0.26)。このうち、連続型のみLPTとRSTの間に、統計学的には有意でないものの、正相関の傾向を認めた(R2=0.73, p=0.15)。連続型4例中3例の臨床病型はflail arm型であった。少数例での解析結果のため確定的なことを述べるにはかなり不十分ではあるが、連続型の疾患進行は、LPTとRSTの関係からみても、細胞間での病因タンパク質のプリオン様伝播による疾患進行仮説に矛盾しない可能性が示唆された。 2.上位運動ニューロン障害の定量評価のため経頭蓋磁気刺激を施行した症例は17例(triple stimulation techniqueでの評価は10例)で、このうち、症例数の最も多い上肢初発例10例でMEP/MとLPT, RST およびLPT-RSTによる疾患進行パターン定量値との関係について検討したが、特定の関係は見出だせなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.筋萎縮性側索硬化症の受診患者数が予想より少なかった。 2.研究代表者が診療業務などで多忙のため、triple stimulation technique による経頭蓋磁気刺激検査の正常値作成が進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
1.Local progression time と regional spread time との関係による定量的疾患進行パターンと、針筋電図による下位運動ニューロンの障害分布パターンとの関係に関しては、症例の蓄積をさらに継続する。 2.Triple stimulation technique を用いた経頭蓋磁気刺激検査については、症例の蓄積をさらに継続するとともに、当初の計画どおり、健常コントロールによる正常値作成を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由)研究代表者が診療業務などで多忙のため、triple stimulation technique による経頭蓋磁気刺激検査の正常値作成が進んでいない。 使用計画)研究の実施を補助してくれる者を確保し、triple stimulation technique による経頭蓋磁気刺激検査の正常値作成を進める。
|