研究課題/領域番号 |
16K09712
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
井川 正道 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (60444212)
|
研究分担者 |
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
米田 誠 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70270551)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | アルツハイマー病 / 酸化ストレス / PETイメージング |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病では,酸化ストレスがアミロイド沈着などの病理変化・神経変性に関与していることが示唆されているが,患者生体脳における実証はまだない.本研究では,我々が開発した[Cu-64]ATSM PET/MRIによる酸化ストレスイメージングによって,アルツハイマー病およびその前段階の軽度認知機能障害における,病態への酸化ストレスの関与を明らかにすることを目的としている. 初年度である今年度は,主に(1)動物(マウス)を使用した前臨床試験(毒性試験)および当大学の医学系研究倫理審査委員会への本研究プロトコールの申請,(2)軽度認知機能障害患者および健常者それぞれ1名ずつに対するパイロットスタディを行った. その結果,(1)動物実験において[Cu-64]ATSMに毒性がないことが確認でき,本研究プロトコールについて医学系研究倫理審査委員会の承認が得られた.(2)[C-11]PiB PET/MRIにて大脳皮質へのアミロイド沈着がみられた軽度認知機能障害患者では,同年代のアミロイド陰性の健常者に比べて,側頭葉や頭頂葉などアルツハイマー病理に関連する脳領域における[Cu-64]ATSM集積の増加が確認でき,アルツハイマー病態への酸化ストレスの関与を強く示唆する結果が得られた. これらの成果に基づき,引き続き多数のアミロイド陽性のアルツハイマー病および軽度認知機能障害患者,健常者に対し,[Cu-64]ATSM PET/MRIによる酸化ストレスイメージングを行い,群間での集積や重症度との相関を検討し,アルツハイマー病態への酸化ストレスの関与を明らかにする予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標としていた,毒性試験の確認,医学系研究倫理審査委員会への申請・承認,患者・健常者での検査を開始することができているため.
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画書に則り,(A)患者群での検討として,対象となるアルツハイマー病および軽度認知機能障害患者に対して,臨床症状の評価および画像検査([Cu-64]ATSM PET/MRIによる酸化ストレスイメージングおよび[C-11]PiB PET/MRIによるアミロイドイメージング)を行い,[Cu-64]ATSMの集積における健常者との比較,重症度,アミロイド蓄積,局所脳容積(萎縮)との相関を検討する.並行して,(B)モデル動物での検討として,遺伝子改変マウスに対し,各病期(週齢)別に,[Cu-64]ATSMによるオートラジオグラフィーと,免疫染色による酸化的損傷やアミロイド沈着などの組織学的検討を行い,所見を比較検討する.
|