研究課題
これまでに健康なヒトの大脳の前後を連絡する連合線維のうち弓状束、上縦束、最外包束の神経線維とそれらの投射分布を明らかにしている。弓状束については、左側頭葉てんかん患者においては左側頭葉の非対称的結合が減少しており、これが言語課題実施時の活動低下と関連していることを明らかにした。一方で左頭頂葉への構造的結合は増加しており、これが言語課題実施時の同部位の機能的結合の増加と関連していることが分かった。左側頭葉てんかん患者においては、側頭葉と前頭葉の構造的・機能的結合は低下するものの、頭頂葉と前頭葉の構造的・機能的結合の増加によって、機能が代償されうることが示唆された。また、パーキンソン病関連疾患における基底核皮質ネットワークの変化を調べる研究で、パーキンソン病、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症候群、多系統萎縮症にそれぞれ特異的パターンを見いだすことができた。今後、臨床現場における鑑別診断に利用できるだけではなく、今後開発が期待される疾患の進行を妨げる治療法の研究にも役立つ可能性がある。更には虚血脳疾患患者の脳内の機能的結合を、MRIを用いて可視化することによって、脳血管反応性を評価出来ることを示した。脳血管反応性は外科的治療の適応を判断する上で重要であり、これまでは放射性同位元素を用いた検査で行っていた。患者に対する負担がより少なく放射線被ばくのない方法の開発の有用性は大きい。
3: やや遅れている
当該研究の研究代表者の異動および主たる業務の変更に伴って、研究遂行に当初の想定以上の時間を要して研究に遅れが生じているため。
最終年度にあたる次年度においてはこれまで蓄積したデータの解析を進めて成果発表を積極的に行うとともに、今後の研究の深化にむけた情報収集も活発に行う予定である。
理由:当該研究の研究代表者の異動および主たる業務の変更に伴って、研究遂行に当初の想定以上の時間を要して研究に遅れが生じているため。また、既存品での代用その他の工夫をすることにより当初の予定よりも少ない予算での研究実施が可能になったため。使用計画:次年度も効率的な研究費の使用をこころがけつつも、より高い研究成果があげられるように適切な予算執行を続けて参る所存である。
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理学療法ジャーナル
巻: 53 ページ: 1-6
Neurosurgery
巻: Epub ahead of print ページ: in print
10.1093/neuros/nyy434