研究課題
希少難治性筋疾患のうち、オートファジー異常を原因とする疾患として、「自己貪食空胞性ミオパチー」があり、1)1次性ライソゾーム異常によるDanon病を代表とする筋鞘膜の性質をもつ自己貪食空胞、2)2次性ライソゾーム異常による縁取り空胞(RV)、に分類される。オートファジーには未解明の部分が多く、特に筋組織での研究は進んでいない。28年度は、私たちは、2次性ライソゾーム異常による縁取り空胞を多数有する封入体筋炎を対象として研究を行い成果を発表した。近年、封入体筋炎の血清中での抗cytosolic-5'-nucleotidase 1A抗体の発現が報告され、私たちは、この自己抗体の筋組織上での発現を検討した結果、封入体筋炎における骨格筋での抗cytosolic-5'-nucleotidase 1A抗体陽性線維の存在が、診断感度、特異度ともに高いことを示した。29-30年度は、1次性ライソゾーム異常によるDanon病とXMEAを対象として全国実態調査を行った。本邦でDanon病症例を、20家系39例(男:女=17:22)確認した。全例が心筋症を有し、一部は重症心不全を呈した。肥大型心筋症やWPW症候群などの心伝導異常が特徴であった。1例で心臓移植が実施され、左心補助人工心臓植込み例も認めた。発症に国内での地域の分布差はなく、遺伝子変異部位も家系によりすべて異なる。筋病理学的には小空胞をもつ筋線維が散在し一部で酸フォスファターゼ活性が亢進している。この小空胞の膜にアセチルコリン・エステラーゼ活性が認められ、筋鞘膜構成蛋白を発現し筋鞘膜の特徴をもつ自己貪食空胞AVSFと一致した。類似疾患XMEAも本邦で4家系12例を見出した。臨床病型として、過去に先天性あるいは乳児型自己貪食空胞性ミオパチーとして報告した例が、XMEAのアレル病であることを明らかにし、今後臨床分類の再検討を目指す。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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