研究課題/領域番号 |
16K09729
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
中山 宜昭 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50590436)
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研究分担者 |
伊東 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20250061)
廣西 昌也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80316116)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 紀伊ALS/PDC / タウイメーイング / THK-5351 |
研究実績の概要 |
令和元年度は,紀南地方以外の和歌山県および大阪府出身の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者4名を対象として,[18F] FDG PET,[11C] PiB PET,[18F] THK-5351 PET検査を施行した.これらの患者へは通常の神経学的検査に加えて様々な神経心理学的検査を施行し,臨床情報を取得した.いずれの患者もPiB PETにて脳アミロイド沈着は認められなかった.THK-5351 PETでは,いずれの症例においても紀伊ALSにおいてタウ集積が強くみられるとされる海馬や側頭葉における特異的な集積は認められなかったものの,一部の症例において,中心前回におけるTHK-5351の集積を認めた.THK-5351は当初,脳内におけるタウのトレーサーとして開発されたが,その後MAO-Bをも認識することが明らかとなり,脳内ではMAO-Bを含有するアストロサイトの存在する領域を描出することが明らかとなっている.我々の得た結果は,ALSにおいて生じる中心前回のアストロサイトーシスをTHK-5351 PETにて描出することができる可能性を示唆している.本内容については,現在論文を執筆中である.一方で我々は,孤発性ALSの剖検例を用いた解析で,神経細胞質内封入体にlinear ubiquitin chainが存在することを報告した.これは,ALSにおいてlinear polyubiquitin chainを媒介として,神経細胞質内封入体のオートファジーによる除去やtumor necrosis factor receptor complex IIを介した細胞死の促進が生じている可能性を示している.本研究内容は国際学術誌へ発表した.
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