研究実績の概要 |
急性期主幹動脈閉塞症例におけるFLAIR画像での血管内高信号 (FLAIR hyperintense vessel:FHV)は同領域の灌流低下を示す所見とされており、急性期血栓回収療法における組織転帰との関連について検討した。対象は2012年4月から2016年8月までに前方循環主幹動脈閉塞に対して血栓回収療法を行った59例のうち、近位血管閉塞 (ICA/M1)で有効再開通 (TICI2b-3)が得られた25例。治療前に梗塞を37% (65領域)、治療後に梗塞を62% (108領域)、FHVを51% (89領域)で認めた。FHV陽性領域では有意に治療前梗塞陽性が多かった (FHV陽性 vs 陰性: 56% vs 17%, p<0.0001)。発症からMRI撮影まで180分以内の症例においてもFHV陽性領域で有意に治療前梗塞陽性が多かった (FHV陽性 vs 陰性: 53% vs 23%, p=0.0002)。治療前に梗塞を認めなかった110領域において、FHV陽性領域では治療後梗塞出現が多い傾向にあった (FHV陽性 vs 陰性: 51% vs 32%, p=0.052)。発症から有効再開通まで360分以内の症例においてFHV陽性領域で有意に治療後梗塞出現が多かった (FHV陽性 vs 陰性: 55% vs 29%, p=0.0234)。FHV陽性領域は、治療前に梗塞が完成していることが多く、有効再開通が得られても梗塞に至ることが多く、FHVは高度灌流低下を反映している可能性が示唆された。
|