研究実績の概要 |
血栓回収療法の有効性を示した多くのランダム化比較試験は造影CTでの灌流画像評価によって症例を選択した。しかし本邦でCT灌流画像は普及しておらずMRIで治療適応を判断することが一般的である。そこでMRIのうち FLAIR画像にみられる血管内高信号(FHV)所見が同領域の灌流低下を示すことを応用し、本研究ではFHVによる簡易灌流評価スコアを開発した。自施設25症例のASPECTS+W皮質領域に分類した175領域でFHVは89領域(51%)に認められ、同部は治療前に梗塞に陥っている頻度が有意に高かった(56% vs. 17%, p<0.0001)。さらにFHV陽性領域は発症6時間以内に有効再開通を得たとしても、治療後梗塞に陥ることが多かった(55% vs. 29%, p=0.0234)。FHV陽性領域は陰性領域よりも高度の灌流低下をきたしており、血栓回収療法の適応判断にはDWI所見に加えFHV陽性を加味した簡易灌流評価スコアが有用であると考えられた。
|