研究課題
本研究は、タウPETの解析において、鑑別の難しい皮質基底核変性症(CBD)と進行性核上性麻痺(PSP)で、タウ蓄積量の違う部位を後方視的な病理学的解析から抽出し、両者の鑑別に役立つ関心領域を見出すこと、そして、それをタウPET(THK5351)撮像の解析に応用すること、そして、実際にタウPETを撮像した例の画像・病理連関を見て、それらの確からしさお検証することのふたつの柱からなる。後方視的な検討では、PSP, CBDともに基底核のタウの蓄積量が多いことが明らかであり、関心領域としては適当と考えられた。研究期間中、タウPET撮像例のうち2例で病理解剖の承諾が得られ、検討を行うことが出来た。一例目は死亡時76歳男性で、前頭葉症状を含む精神症状、認知症、パーキンソニズムで始まった例で、前頭側頭型認知症と診断されていたが、病理診断がCBDであった例である。タウPETの集積は右に強い前頭葉、基底核、脳幹に見られた。二例目は死亡時77歳男性で、左に強い小脳症状で始まったPSPで、病理診断もPSPであった。タウPETの集積は基底核、脳幹のほか、左歯状核に強く認められた。集積が強く認められていた部位は、タウの沈着も強いが、変性も強い部位であった。本研究と並行して、本タウPETはMAO-Bにも集積してしまうことが明らかとなってきた。病理学的にタウ沈着があって、タウPETの集積があった部位はアストログリアの増生も強く、それを裏付ける結果となった。変性疾患によってはアストログリアの増生が目立つ特異的な部位が存在する(例としては嗜銀顆粒性認知症)疾患もあり、異なった観点からのTHK5351の活路もあると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
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