研究課題/領域番号 |
16K09735
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
木村 円 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, トランスレーショナル・メディカルセンター, 室長 (60433025)
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研究分担者 |
渡辺 範雄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20464563)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 筋強直性ジストロフィー / QOL / CBT / 神経心理学的アプローチ |
研究実績の概要 |
筋強直性ジストロフィーI型(DM1)患者を対象とした疲労感に対するCBT介入プログラムの具体的内容を作成するに当たり,海外の先行研究を参考として主要評価項目を患者の活動と参加度を測定する自己回答式尺度,2次評価項目は活動,疲労感と眠気,QOL,気分,認知の5つを利用すると計画していた.2次評価項目についてはまず国内患者に主に体験される症状や生活上の困りごとを明らかにする必要があったため,症状やQOLを測定する質問紙を検討した.その結果,世界で広く使用されている自己報告式の健康状態調査票であるSF-36v2,うつ病の自己評価尺度であるCES-D,日中の眠気を測定するJESSの各質問紙を用いて遺伝子診断が確定しているDM1患者にアンケートを取り,患者にとって主な負担となっている症状について調査する計画を立案した.また,DM1患者における病識の乏しさがしばしば指摘されるため,介護者についても同様のアンケートを実施し,介護者から見た患者の困り感について回答いただき,さらに介護者にはJ-ZBIを利用して介護者自身の介護負担について質問紙調査することとした.結果として得られたデータは,体験される症状の頻度や各項目の関連を解析し,開発予定であるCBTプログラム内容の参考とすることとした.上述した計画について関連施設における倫理申請をし,承認を得た.実施施設である国立精神・神経医療研究センターおよび国立病院機構青森病院に来院可能なDM1患者50名およびその介護者を調査対象とし,2017年3月末時点で約20名のリクルートおよび質問紙調査を行った.2017年2月には青森病院にて研究協力者参加の元研究会議を実施し,それまでに収集されたデータの分析結果を議論,これらの結果をCBT介入プログラムに反映させるための今後の方向性について話し合いが持たれた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CBT介入プログラム開発の前段階となる評価項目に確定に関する調査研究の実施を開始し,リクルートは予定の1/3以上を達成.中間解析を実施し,CBT介入プログラムの開発に向けた具体的方法について議論した.
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今後の研究の推進方策 |
2017年5月に第2回目の調査研究会議および「慢性疾患の心理・社会的セルフケア」と題した患者自身のQOLに関する意識向上を啓発するための市民公開講座を京都大学にて開催する..調査終了時には研究結果を国際ジャーナルに投稿する.結果に基づきCBT介入プログラムの評価指標を設定,プログラムの具体的内容を検討していく.同時に評価者や介入者のトレーニングおよび参加者リクルートを行う.症状/QOL調査の参加者がCBT加入プログラム研究に参加する可能性も想定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画の金額はCBT介入プログラムの開発を初年度より開始した場合のものであったが,まずは国内患者における評価項目の明確化が必要であることから初年度は質問紙調査を主に行ったことで経費が抑えられた.
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次年度使用額の使用計画 |
主に,①2017年5月の第2回目の調査研究会議および「慢性疾患の心理・社会的セルフケア」と題した患者自身のQOLに関する意識向上を啓発するための市民公開講座開催のための旅費や謝金,事務経費等,②評価項目調査終了時の研究結果にかかる国際ジャーナル投稿料および学会発表に関する費用および旅費,に使用する。
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