研究課題
Selenoprotein P (SELENOP)はインスリン抵抗性、血管新生抵抗性、運動抵抗性をはじめとする2型糖尿病病態を形成する肝臓由来ホルモンである。多価不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)によるSELENOP発現機構を検討した。ラット肝がん由来H4-II-EC3細胞をプレートに播種し、通常培地下で、約72時間、80%コンフルエントまで培養した後、2%のBSAの存在下でEPAを処置した。EPA、ドコサヘキサエン酸(DHA)は抑制したが、アラキドン酸、アラキジン酸はセレノプロテインP遺伝子発現を抑制しなかった。中でもEPAは濃度依存的に抑制していた。SELENOPプロモーターにおけるEPA応答領域を同定し、この応答領域に種間で保存されたSRE-like配列を見出した。SRE-like配列を欠損させると、EPAによるSELENOP転写活性低下作用が消失した。EPAによるセレノプロテインP抑制効果は、EPA処置後12時間後から認める一方、Srebp1、Fasn遺伝子の発現はEPA処置後3時間と早期から認め、経時的な差がある。EPAは細胞質に存在する前駆体のSREBP-1cを増加させ、核内の活性型のSREBP-1cを減少させた。EPAはSREBP-1cとSELENOPプロモーターDNAとの結合を抑制した。一方、EPA処置によりFoxO1遺伝子発現は濃度依存的に増加した。FoxO1のノックダウンにより、EPAのSelenop遺伝子発現抑制作用は、早期の段階から認め、EPAはGPR120を介してFoxO1を活性化する。EPA受容体であるGPR120の阻害は、EPAによるErkリン酸化とFoxO1の脱リン酸化を抑制した。肝細胞においてEPAがSREBP-1cを介してSelenop遺伝子発現を負に、FoxO1を介して正に制御する。
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