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2016 年度 実施状況報告書

褐色脂肪組織におけるO-GlcNAc修飾によるUCP1発現調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K09743
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

卯木 智  滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20378483)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード褐色脂肪 / UCP1 / ミトコンドリア / PGC-1α
研究実績の概要

【目的】褐色脂肪組織(BAT)におけるO-GlcNAc修飾の役割を明らかにするため、O-GlcNAc修飾を介した栄養センサーの破綻がエネルギー代謝に与える影響を検討した。
【方法・結果】O-GlcNAc transferase(Ogt)-floxマウスとUcp1-Cre発現マウスを交配してBAT特異的Ogt欠損マウス(Ogt-BKO)を作製し、その表現系を解析した。体重および耐糖能は両群で有意な差を認めなかったが、Ogt-BKOのBATは脂肪滴の蓄積による肥大化を呈しており、寒冷環境下(4℃)では、体温は数時間で顕著に低下し致死性であることが明らかとなった。熱産生を司る脱共役蛋白質Uncoupling protein 1(Ucp1)の蛋白発現が低下していたことから、Ogt-BKOの寒冷負荷不耐性の原因の一部はUcp1発現のdysregulationによるものと示唆された。そこでミトコンドリア機能調節のマスターレギュレーターであるPPARγcoactivator -1α(PGC-1α)の発現を検討したところ、Ogt-BKOのBATにおいてPGC-1αの蛋白発現の低下と、ミトコンドリア関連蛋白の発現の低下を認めた。以上より、褐色脂肪細胞におけるOgtが、PGC-1αを介したミトコンドリアの発現調節に関与している可能性が示唆された。
【考察】Ogtが熱産生に必須である。そのメカニズムとして、OgtがPGC-1αの発現調節に重要な役割を果たしている可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究開始の発端になったのは、脂肪組織特異的Ogt欠損マウスのフェノタイプ解析である。このマウスでは、精巣上体脂肪および皮下脂肪組織は、脂肪重量が有意に減少し、一方、褐色脂肪では、反対に著明な脂肪滴の貯留による肥大化を認めた。しかし、このノックアウトマウスは、Adiponectin promotorを使用して作成したため、白色脂肪組織と褐色脂肪組織の両方においてOgtが欠損しているため、フェノタイプが、どちらの(または両方の)脂肪組織によるものなのかがわからなかった。そこで、本研究では、褐色脂肪組織(BAT)特異的ノックアウトマウスを作成し、フェノタイプを検討することを目的にした。
本年度において、当ノックアウトマウスの作成に成功し、そのフェノタイプを観察することができた。

今後の研究の推進方策

(1)UCP1、PCG-1α発現低下の機序についてさらに検討する。
UCP1の上流として、 PKA、CREB、HSLについて、RNA発現量、蛋白量及びリン酸化を検討する。
(2)ミトコンドリアバイオジェネシスが変化しているか検討する。
PGC-1αはミトコンドリア機能調節のマスターレギュレーターであり、PGC-1α発現の低下によりミトコンドリアバイオジェネシスが変化している可能性がある。ミトトラッカー染色によるミトコンドリア量、ミトコンドリアDNAのRNA発現量を検討する
(3)当マウスにおける、耐糖能、基礎代謝量、エネルギー代謝について詳細に検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 褐色脂肪組織におけるO-GlcNAc修飾は体温維持に重要である2016

    • 著者名/発表者名
      大橋 夏子, 森野 勝太郎, 井田 昌吾, 久米 真司, 関根 理, 卯木 智, 前川 聡
    • 学会等名
      第59回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-21

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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