研究課題
【方法】O-GlcNAc transferase (Ogt)を褐色脂肪組織特異的に欠損したマウス(Ogt-BKO)を作製し、その表現型を解析した。【結果】Ogt-BKOは、体重や耐糖能は正常マウスと差がなかったが、褐色脂肪組織(BAT)は脂肪滴蓄積により肥大化した。Ogt-BKOは寒冷環境で体温が顕著に低下し、熱産生を司るUCP1蛋白の発現低下がその原因と考えられた。さらに、ミトコンドリア機能調節の主要調節因子であるPGC-1α蛋白およびミトコンドリア関連蛋白の発現低下を認めた。以上より、BATにおいて、OgtはPGC-1αを介したミトコンドリアの機能調節に関与していると考えられた。また、Ogt-BKOは、絶食状態では寒冷環境で低体温をきたすが、普通食摂取下では低体温をきたさない。一方、糖質を含まない高脂肪食摂取では体温低下をきたした。このことから、Ogt-BKOのBATでは、脂肪からのエネルギー供給は障害されており、糖利用がその機能維持に重要と考えられた。【考察】褐色脂肪組織におけるO-GlcNAc修飾は、寒冷環境での体温維持に重要である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 495 ページ: 2098-2140
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 15096
10.1038/s41598-018-33438-3