研究課題
本研究では、申請者が脂肪細胞において新たに見出した転写因子IRF7による脂肪細胞肥大化の制御機構を明らかとし、IRF7または活性化機構や下流分子を治療標的とした小分子化合物などの創薬や医療への応用における基盤確立にある。このため平成30年度の計画では以下の研究計画を実施した。(1)脂肪細胞特異的IRF7トランスジェニックマウスの作製・解析と糖・脂質代謝関連標的分子の同定:IRF7ノックアウトマウスは、高脂肪食給餌において肥満抵抗性を示した。通常食飼育では野生型マウスと体重差や成長に差がなく、また摂餌量に野生型マウスと変化がなく、脂肪摂食時のエネルギー消費量亢進が認められた。IRF7の標的分子の探索の結果、皮下脂肪細胞においてUCP-1が同定され、肥満時の白色脂肪細胞からベージュ脂肪細胞への転換に作用することが明らかとなった。さらにIRF7機能同定のため脂肪細胞特異的IRF7トランスジェニックマウスを平成29年度に続いて作成中である。(2)IRF7の標的遺伝子の同定:UCP-1とともに単球走化性因子MCP-1が標的遺伝子であることにを明らかとした、MCP-1のプロモータ領域に存在するIRF結合モチーフを同定し、肥満時の白色脂肪組織における慢性炎症に対するIRF7の機能を明らかとした。(3)脂肪細胞特異的IRF7ノックアウトマウスの作製と解析:Adiponectin-Creを用いた脂肪細胞特異的IRF7ノックアウトマウスを作製中であり、高脂肪食負荷時のエネルギー過剰状態での生体のエネルギー代謝調節機構における転写因子IRF7の脂肪細胞特異的な意義を引き続き解析する。(4)TLR9-IRF7パスウエイを活性化するリガンドを探索:結果(3)においてIRF7の脂肪組織炎症における役割を明らかとしたが、IRF7パスウエイを活性化するリガンドとして飽和脂肪酸を同定した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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