研究課題/領域番号 |
16K09754
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大澤 春彦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90294800)
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研究分担者 |
大沼 裕 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00294794)
高田 康徳 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (20432792)
川村 良一 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90533092)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レジスチン / インスリン抵抗性 / SNP / エピジェネティクス / 遺伝子発現 / 2型糖尿病 / 遺伝子 / 環境因子 |
研究実績の概要 |
レジスチンは、インスリン抵抗性惹起性サイトカインである。申請者らは、その遺伝子発現・血中濃度が転写調節領域の一塩基多型(SNP)-420の”遺伝子型効果”ならびに”DNAメチル化効果”によって強く規定されることを見出した。一方、環境因子はメチル化等のエピジェネティクスを介して遺伝子発現に影響しうる。 本研究では、この独自の知見であるSNP-420の”dual effect”に焦点を絞り、SNP・環境因子・メチル化を統合したレジスチン遺伝子発現調節機構を解明する。具体的には、SNP-420の遺伝子型を決定し、メチル化を定量する。培養細胞を用いた環境因子液性mimeticsによる分子機構の解析、ヒトの単離単球を用いた生体内意義の解析、定量化環境因子データを用いた遺伝疫学解析を体系的に組み合わせる。こうして、2型糖尿病、動脈硬化等のインスリン抵抗性関連疾患の新たな発症予防・治療戦略を見出す。 本年度は、日本人一般住民約2000名について血中レジスチンとSNP-420のメチル化率の定量を進めた。解析の終了した対象については環境因子や臨床検査の結果も含めてデータベースを作成した。また、新たに検診に参加した一般住民について、栄養、運動等の環境因子情報、臨床検査結果と共に、保存血清とDNA抽出用のサンプルを収集した。環境因子の影響について、食事から摂取する栄養素と血中レジスチンの関連を解析した。その結果、摂取した脂質の種類により血中レジスチンとの関連が異なることを認めた。さらに、この関連が遺伝素因(SNP-420の遺伝子型等)によって影響を受ける可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、日本人一般住民約2000名について血中レジスチンとSNP-420のメチル化率の定量を進めた。解析の終了した対象については、環境因子や臨床検査の結果も含めてデータベースを作成した。また、新たに検診に参加した一般住民について、栄養、運動等の環境因子情報、臨床検査結果と共に、保存血清とDNA抽出用のサンプルを収集した。 一方、一般住民2000名について、血中レジスチンと環境因子の関連を遺伝疫学的に解析した。食事から摂取する栄養素を食物摂取頻度調査票(food frequency questionnaires; FFQ)により推定した。その結果、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸といった脂質の種類により血中レジスチンとの関連が異なることを認めた。さらに、この関連が遺伝素因(SNP-420の遺伝子型等)によって影響を受ける可能性も示唆された。 THP-1ヒト単球細胞において、一部の脂質がレジスチンmRNAに及ぼす影響について、添加する脂質の濃度、刺激時間などについて基礎的条件設定を検討した。添加する栄養素によっては、THP-1細胞の活力に影響する可能性があり、詳細な検討が必要と思われた。 以上より、一般住民において、メチル化の定量は予定通り進んでいる。遺伝疫学的解析については、環境因子、遺伝素因と血中レジスチンとの関連についての解析で有意な結果が出てきており、概ね予定通り研究は進んでいると考えている。一方、細胞を用いた実験については、有望な環境因子として脂質を検討したところであり、さらに進めて行く必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
さらに、多数例についてデータベースを構築し、レジスチンSNP-420等の遺伝素因とDNAメチル化率、血中レジスチン濃度の関係を遺伝疫学的に解析する。環境因子のうち、脂質をはじめとする摂取栄養素、喫煙、運動などの定量化が可能な因子について、DNAメチル化及び、血中レジスチンへの効果をSNPとの相互作用も含めて解析する。 また、THP-1ヒト単球細胞を用いて、各種栄養素などの効果を反映しうる可溶性因子について、投与濃度、刺激時間などについての基礎的条件を設定する。その上で、これらの可溶性因子のレジスチンmRNA、プロモーター活性、miRNA、DNAメチル化への影響を解析していく。 また、ヒト単離単球を用いて、SNP-420の遺伝子型の違いによるレジスチンの標的mRNAへの効果の違いについて解析していく。
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