研究課題
我々は,これまでに1型糖尿病モデル;NODマウスから、獲得免疫と自然免疫系担当細胞の両者の分化・増殖に関連するパイオニア転写因子IRF4を欠損し、その膵島炎および糖尿病の発症が完全に抑制されることを証明した(Diabetologia2015)。今回我々は、IRF4欠損による糖尿病進展抑制がCD4+T細胞系あるいは自然免疫系のどちらに強く関連しているのかを検証するために、NOD由来膵島抗原特異的CD4+T細胞発現マウス(BDC2.5-TCR-NOD)と、獲得免疫欠損マウス(RAG1欠損NOD)からそれぞれIRF4を欠損し、互いの養子移入の系による膵島炎、糖尿病誘導能を評価することを計画した。最終年度は、BDC2.5-TCR-NODから単離したナイーブCD4+T細胞を、IRF4 ホモ欠損(Irf4-/-),野生型(Irf4+/+)RAG1欠損NODマウスに養子移入を施行した結果、Irf4-/-RAG1NOD、Irf4+/+RAG1NODマウス両レシピエントマウス群では、ほぼ同等の糖尿病発症を認めたことから、IRF4の自然免疫系の発現は、1型糖尿病病態は重要ではない可能性を示した。現在、CD4+T細胞系でのIRF4発現の重要性を検証するため、Irf4-/-,Irf4+/-,Irf4+/+BDC2.5-TCR-NODマウスの3系統を作製し、脾細胞からナイーブCD4+T細胞、およびエフェクタCD4T細胞を単離し、RAG1KONODマウスに養子移入を行い、膵島炎、糖尿病誘導能を確認している。本養子移入の系において、CD4+T細胞におけるIRF4発現の病態への関与が明らかにされた後には、in vitroの系において、BDC2.5TCR CD4+T細胞に対する自己抗原刺激を行い、T細胞増殖反応、およびT細胞代謝系の変化と、IRF4発現の関連性を検討する予定である。
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