研究課題
白色脂肪組織(WAT)の褐色化(Browning)は、褐色脂肪細胞の活性化と同様、肥満予防と治療の標的となる可能性がある。本研究は、TNFα-converting enzyme(TACE;TNFα変換酵素)によるWATのBrowning抑制の分子機序を解明し、TACE活性亢進によりWATのBrowning抑制が、逆にTACE活性の抑制によりWATのBrowning促進が起こることを明らかとする。さらに、申請者らが明らかとした肥満糖尿病動物における「短鎖脂肪酸(short-chain fatty acids; SCFA)による内臓脂肪組織(visceral WAT; VAT)の不完全なBrowning」を、SCFA刺激とTACE活性抑制とを同時達成することで完全なるVATのBrowningを誘導できることを証明することを目指している。本年度は、肥満で誘導されるWATにおけるTNFαとTACEの局在を調べ、動物および細胞レベルにてTACE活性亢進がWATのBrowningを阻害、逆にTACE活性の抑制がWATのBrowningを促進するか検討するため、肥満動物にTACE活性化剤および阻害薬を投与する計画であった。熊本地震による実験室の被災の他、実験室移転を伴う居室(医局)の移転もあり、本実験系による解析(動物へのTACE活性化剤および阻害薬の投与実験)を円滑に進めることが出来なかった。そのため、本年度は薬剤非投与の条件下での実験に制限された。実際には、薬剤非投与下の肥満糖尿病動物由来WATを、コラゲナーゼ処理後にフィルター処理し、遠心分離を加え、前駆脂肪細胞、血管構成細胞、マクロファージ等から構成されるSVFと成熟脂肪細胞分画とに画分、得られたそれぞれの分画におけるブラウニング関連分子、TACE活性、TNFαのmRNA発現および蛋白発現を解析した。
3: やや遅れている
4月の熊本地震被災や12月の医局移転により実験施設の充分な利用ができず、実験動物にTACE活性化剤および阻害薬を投与する実験を進めることができなかったため。
動物実験施設の改修、移転した新しい実験室の整備もほぼ完了しているため、実験動物にTACE活性化剤および阻害薬を投与する実験系を進める。また、本研究に従事する人員を増やすことで対応する。
今回使用できなかった金額は7,733円と僅かであり、実験に必要な試薬等の必要物品購入には不足したため。
今回使用できなかった金額7,733円は、次年度助成金と合わせ、必要物品等の購入に当てる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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