研究課題
末梢のエネルギー状況や摂食情報を消化管の自律神経が感知して中枢に情報を伝達している。高脂肪食摂取により惹起された腸管の炎症は、迷走神経を介して中枢に波及して、ペプチドによる摂食行動の調節機構に異常を生じ過食肥満を生じてくる。本申請では、グレリン抵抗性やレプチン抵抗性を生じる時期を特定して、その前後で迷走神経節における発現量やリン酸化、糖鎖修飾の変化する蛋白を同定する。候補蛋白の迷走神経や中枢における機能を解析し、炎症や摂食調節における役割を明らかにして、肥満や糖脂質代謝異常の病態を明らかにし、新しい診断法や薬剤開発に繋げていく。60%高脂肪食を負荷したマウスを用いて、腸管と神経の炎症とグレリン作用を経時的に観察し、4週間以上の高脂肪食を摂取したマウスは、迷走神経節と視床下部のグレリン受容体発現が低下して、グレリンによる摂食亢進作用が消失した。この時、迷走神経節と視床下部のグレリン受容体発現が低下しており、高脂肪食による慢性炎症の持続がグレリン受容体の発現量を減少させる可能性が示唆された。12週間の高脂肪食摂取による、腸管、迷走神経節と視床下部の炎症と、グレリン摂食亢進作用の消失は、カロリー制限による体重減少で可逆的に改善した。今後は、メサラジンを投与して、腸管の炎症を抑制したマウスや高齢マウスに高脂肪食を負荷して、高脂肪食による腸管の炎症が神経を介して摂食行動に与える影響の詳細な機序を解明していく。
2: おおむね順調に進展している
60%高脂肪食を負荷したマウスを用いて、腸管と神経の炎症とグレリン作用を経時的に観察し、4週間以上の高脂肪食を摂取したマウスは、迷走神経節と視床下部のグレリン受容体発現が低下して、グレリンによる摂食亢進作用が消失した。この時、迷走神経節と視床下部のグレリン受容体発現が低下しており、高脂肪食による慢性炎症の持続がグレリン受容体の発現量を減少させる可能性が示唆された。12週間の高脂肪食摂取による、腸管、迷走神経節と視床下部の炎症と、グレリン摂食亢進作用の消失は、カロリー制限による体重減少で可逆的に改善した。メサラジンを投与して、腸管の炎症を抑制したマウスを作製し、高脂肪食を負荷した時の摂食行動やエネルギー代謝を観察している。また、高齢のマウスに高脂肪食を負荷して、若年マウスと比較して加齢による摂食行動の変容を解析している。
メサラジンを投与して、腸管の炎症を抑制したマウスを作製し、高脂肪食を負荷した時の摂食行動やエネルギー代謝の観察を継続する。高齢のマウスに高脂肪食を負荷して、若年マウスと比較して加齢による摂食行動の変容解析を継続する。以上のように高脂肪食による腸管、神経の炎症と摂食行動の関連を追及していく。
当初の予想より実験が速やかに進めることができて、予定していた個体数より少数の動物で実験成果をあげることができた。余裕ができた予算を利用して、高額なELISAキットが必要であるグルカゴンやインスリンなどホルモンやペプチドの測定を進めていく予定である。
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