研究課題
研究実績の概要本研究課題の目的は、Ppy遺伝子Creノックインマウスを用いたPP細胞系譜の追跡により、PP-β細胞間の分化転換機構を解明し、PP細胞が新たなβ細胞の起源となることを実証することである。PP細胞の細胞系譜追跡を行なう目的で、Ppy-CreノックインマウスとROSA26 promoter-EYFP(Rosa26-EYFP)を交配し、Ppy-Cre/+:ROSA26-EYFPマウスを作出した。我々が独自に開発したPP特異的モノクローナル抗体(Hara et al. Endocr J 2019)を用いて12週齢のPpy-Cre/+:ROSA26-EYFPマウスの膵島を解析したところ、GFP陽性細胞の中にはPP陽性細胞に加えて、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン陽性細胞も認められた。そして興味深いことに、GFP陽性細胞のうち、最終的にPP細胞に分化したのは18%程度に過ぎなかった。さらに、Ppy発現細胞でPdx1を欠損させた場合、あるいはPpy発現細胞にPdx1およびMafAそれぞれ単独、あるいはPdx1+MafAを共発現させたさいの、Ppy発現細胞のその後の運命を追跡する実験を行なった。Ppy発現細胞においてPdx1を欠損させると、β細胞への分化は著しく障害され、その分、non-beta細胞へ分化する細胞が増加した。逆にPdx1をPpy発現細胞において強制発現させると、その後β細胞へと分化する細胞数が増加し、さらにMafAを共発現することにより、β細胞へ分化する細胞数は更に増加した。MafA単独の発現ではβ細胞への分化には影響を与えなかった。以上のことから、①β細胞へ至る分化経路には、一度Ppyを発現してβ細胞へと分化する経路と、一度もPpyを発現せずにβ細胞へ分化する経路の少なくとも2つが存在することが示唆された。さらに、②Ppy発現細胞からβ細胞への分化過程には、Pdx1とMafAが協調的に働くことが示された。
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https://tou-taisha.imcr.gunma-u.ac.jp/