研究課題/領域番号 |
16K09766
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
宮塚 健 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622363)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | β細胞 / 膵発生 / beta cells neogenesis / spatiotemporal analysis / reporter mouse |
研究実績の概要 |
Insulin-GFP; Insulin-Timer double transgenic mouse (以後new Insulin-Timer マウス(nIT マウス)と呼ぶ)の胎生期膵島をex vivoで培養し、live imagingを撮影した結果、緑色蛍光(+); 赤色蛍光(-)の細胞は8時間以内に赤色蛍光を呈するようになった。また全ての緑色蛍光細胞はインスリン抗体を用いた免疫染色で標識されることから、緑色蛍光(+);赤色蛍光(-)の細胞はtime window 8 時間で標識される新生β細胞であることが明らかとなった。 また膵管に近接した新生β細胞(βduct)と膵管領域から移動し血管に近接した新生β細胞(βvessel)をE14.5から経時的に定量した結果、観察した全ての発生段階でβduct, βvesselともに観察され、膵管・血管両者から離れた領域に新生β細胞は検出されなかった。さらに nITマウス胎生膵の凍結切片において抗Mafa抗体を用いた免疫染色を行ったところ、βvessel細胞におけるMafa陽性率はβduct細胞に比し、有意に高値であった。以上の結果は、βvessel細胞とβduct細胞はともにインスリンプロモーターがonになってからの時間経過に関しては均質な新生β細胞、即ちtemporally immature beta cellsでありながら、機能面の成熟度に関しては不均質な細胞集団である可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に記載したpreliminary dataが異なる発生段階でも同様の結果であることを確認できた。さらにlive imaging画像を得るための撮影条件を至適化することに成功した。現在の方法ではlive imaging時に血管や膵管の位置を同定することが困難であるため、migrationの軌道を明らかにするためには、血管や膵管を標識する新たなレポーターマウスと交配する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
[1] 成体マウスにおいてβ細胞新生誘導するモデルマウス、例えばGLP-1 analogue + gastrin投与モデル(Sasaki, Miyatsuka et al. Diabetologia 2015)を用いてβ細胞新生が成体膵のどの領域で起こるか解析する。 [2] nITマウス胎生膵をVEGFR2 kinase inhibitor存在下で培養することにより、血管からのシグナルがβ細胞新生にどのような影響を及ぼすのか明らかにする。
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