研究課題
マウス皮膚初代培養細胞の3次元凝集化多能性幹細胞を作製し、誘導した神経前駆細胞(sDSC-NCs)をマウス下肢に移植し、糖尿病性多発神経障害(DPN)改善効果があることを報告した。【方法】5週齢雄性EGFP-C57BL/6Jより皮膚線維芽細胞を初代培養・3次元球状凝集化し、sDSCを作製した。このsDSCよりSox2/Nestin陽性神経前駆細胞(sDSC-NC)を誘導した。8週齢のC57BL/6Jを用い、ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスを作成し、STZ投与3カ月後、片側下肢筋にsDSC-NCsを各肢3×10^4 cellsを移植した。治療前および治療4週後に知覚機能検査および神経伝導検査を施行した。移植治療4週後、下肢組織における移植細胞の生着確認し、免疫組織学的解析ならびにRT-PCRにて非移植組織と移植組織の各サイトカインmRNA発現を定量評価した。【結果】1)移植後4週後において下肢組織に多数のGFP陽性細胞(sDSC-NC)の生着を確認した。2)糖尿病状態では温覚機能及び神経伝導速度が低下、sDSC-NC移植はこの低下を有意に改善。3)移植細胞生着組織にNGFとPGES1 mRNA発現上昇した。培養方法では、細胞に十分な酸素化が行われず幹細胞の一部は培養過程で失われていることから培養システムを一部変更することにより幹細胞の効率よい3次元培養法を開発した。また、移植部位により、治療効果が異なることを考慮し、神経走行を低侵襲に追跡し、神経近傍に移植する技術を開発した。これらの成果の一部は、現在、論文作成中である。移植細胞が末梢神経に生着しサイトカイン産生することにより、その治療効果の一部が発揮されることを想定し、別の組織幹細胞である歯髄幹細胞の培養上清を分画化して、各分画の有用性を評価した。この成果については、別途、英語論文として発表した。
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Journal of Diabetes Investigation
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10.1111/jdi.13045