研究課題
全身でのWFS1欠損マウスの動脈における表現型の解析1) カフ障害におけるWFS1欠損の影響の検討8週齢のWFS1欠損マウスを用いて、片側の大腿動脈にカフ傷害を施し、3週間後に同部位の動脈を採取、内膜の肥厚度の検討や免疫組織学的検討を行う。カフ留置部位の血管からmRNAを抽出し、炎症反応や小胞体ストレス、酸化ストレス応答に関連した分子の発現を検討する。WFS1の全身での欠損マウスを用い、カフ傷害における炎症性反応性内膜肥厚についての影響を検討した。WFS1欠損マウスでは野生型マウスに比べ、炎症性反応性内膜肥厚が有意に進んでいた。またカフ内の血管での遺伝子発現についてRT-PCR方法を用いて検討を行った結果、WFS1欠損マウスでは野生型マウスに比べカフ傷害による血管での炎症性因子や、平滑筋増殖因子などの発現が有意に上昇していた。またWFS1の血管内膜肥厚に対する影響に対して詳しいメカにズーム調べるため骨髄移植実験を行った。骨髄移植後、同様にカフ傷害を施し、内膜肥厚について解析を行った。結果、WFS1欠損骨髄を移植したマウス群でカフ傷害内膜が有意に肥厚していた。血球由来のWFS1が炎症に対する血管の内膜肥厚に重要な役割を果たしていると考えられた。また、この実験結果の元で、ex vivo、in vitroの実験を行った。腹膜由来のmacrophageとJ7741A細胞を用いてWFS1欠損と過剰発現の条件での炎症に対する反応をRT-PCR方法で検討を行った。結果、macrophageでWFS1が炎症に対して保護的な役割を果たしている結果を得られた。
2: おおむね順調に進展している
事前に厳密な計画を立て、共同研究者の全力的なご協力を得て、研究が順調に進んでいる。
現在進行中の実験をさらに進み、すでに得られた結果を論文にまとめたいと思う。一方、apoE欠損マウスとかけ合わせ、高コレステロール食による粥状動脈硬化に対するWFS1影響についてさらに検討を進める方針である。さらに、WFS1のこの炎症及び高コレステロール食による動脈硬化に及ぼす影響に関するメカにズームを電子電子顕微鏡を用いて深めていく方針である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
cell reports
巻: 18(8) ページ: 2045-2057
doi: 10.1016/j.celrep.2017.01.076.