研究実績の概要 |
本研究では、GPR40が脂肪肝・高脂血症・インスリン抵抗性の改善に関与する可能性を明らかにする目的で、ごく最近報告されたインクレチンによる脂肪肝改善作用に注目し、既に作成済みのGPR40KOラットのインクレチン分泌およびその肝臓や脂肪組織での作用の解析を行う。GPR40KOラットだけでは解析に難渋する可能性を想定し、GPR40のBACトランスジェニック(Tg)ラットを作成する。GPR40BACTgラットは作成の容易なヒトGPR40遺伝子全体を用いるものと、より内因性の発現に近いラットGPR40プロモーター下にヒトGPR40を発現する2種を作成し、後者の作成に難渋した場合に前者をバックアップとして用いる。さらに難渋した場合に備え、STC-1、3T3L1、HepG2などの腸管内分泌細胞、脂肪細胞、肝細胞の細胞株でGPR40アゴニストを用いて検討する。 1.GPR40KOラットの解析は36週まで基礎データ等は揃いつつある。特に、26週までは消化管ホルモンの分泌調節が十分に揃ってきている。経過は順調と考える。 2.GPR40KOラットの肝臓のサンプリングは終了し、今後の解析の準備は万端である:(1)合成系制御因子:PPARg, SREBP1, SREBP2, LXR, SHPなど、酵素:ACC, ACL, FAS, GPAT, SCD1, MAL(malic enzyme)など、(2)酸化系制御因子:PPARaなど、酵素:AOX, CPT1, mitochondrialのcomplex構成遺伝子群など(3)放出系apoB100, MTTPなど(4)取り込み系LDL-R, CD36, LPL, HP(hepatic lipase)などの遺伝子発現をmRNA、蛋白定量などにて検討する 3.GPR40Tgラットの作出はプラスミド合成まで進みつつある。順調と考える。
|