研究課題/領域番号 |
16K09781
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀田 紀久子 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師(常勤) (30360639)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝疾患 / DNAメチル化 / Co-methylation解析 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者60名の肝生検組織よりゲノムを抽出し、バイサルファイト処理後、イルミナIllumina Infinium HumanMethylation450 BeadChipにてメチル化レベルを測定した。軽度線維化群(35名)と高度線維化群(25名)の2群間でメチル化レベルに有意差を認めたCpGサイトを同定した。Weighted gene co-expressed network analysis (WGCNA)を用いてco-methylation解析を行った。Probe Lasso法にてdifferentially methylated regions (DMRs)を同定した。2群間で有意差のあった59,858 CpGサイトは3個のmoduleに分類された。Module 1に属するCpGサイトは高度線維化群でメチル化が低下していた。免疫反応に関連している遺伝子が多く、NAFLDに伴う炎症に関連していることが示唆された。Module 2に属するCpGサイトは高度線維化群でメチル化が増加していた。ミトコンドリアに存在する遺伝子や酸化還元、脂質代謝に関連する遺伝子上に存在するCpGが多く、NAFLD進行に伴うミトコンドリア機能異常に関連していると考えられた。610のDMRを同定した。DMRのメチル化が低下し発現が増加する遺伝子には細胞増殖に関連しているCYR61、PDGFA、FGFR2、ZBTB38が含まれており、NAFLDが癌化しやすい状態にあることが示唆された。DMRのメチル化が増加し、発現が減少する遺伝子には代謝関連の遺伝子が含まれていた。多くのDMRは減量治療前後でメチル化レベルに変化を認めなかった。いくつかの遺伝子上に存在するDMRのメチル化レベルは高度線維化群で増加し、減量でメチル化レベルが低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノムワイドメチル化解析が終了し論文報告を行った。データベースを利用して、NAFLDの進行に伴うメチル化レベルの増加が減量により低下するDMRを同定できた。エクソンシークエンスを20検体まで終了しマッピングまで終了した。メチル化解析については、新たな解析を行い論文作成し投稿している。
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今後の研究の推進方策 |
メチル化解析についてさらに解析を行い、新たな結果を得ることが出来た。論文投稿中であり、論文採択を目指す。エクソンシークエンスについては20サンプルの実験とアライメントまでの解析が終了している。重要な変異も同定出来ているので、再現性などについての追加実験を行い、論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)論文投稿に際して諸費用が生じるが、2017年度中に採択に至らず、予定していた経費を2018年度に持ち越すことになった。
(使用計画)論文が採択された場合は、掲載料、印刷費に充当する。余剰が出た場合は研究費に充当する。
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