研究課題
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の発症・進行にはゲノムのメチル化が重要である。Differentially methylated regions(DMRs)を同定し、DMRのネットワーク解析を行い、NAFLDの線維化進行に重要な遺伝子を同定することを目的に研究を行った。NAFLD患者の肝生検組織のメチル化レベルをIllumina Infinium HumanMethylation450 BeadChipにてを測定し、Probe Lasso法にて高度線維化群と軽度線維化群間のDMRを同定した。アメリカ人NAFLD(GSE31803)で再現性が確認されたDMRに存在するCpGサイトのメチル化レベルについてWGCNAにてtopological overlap measure(TOM)を計算した。各DMRに存在するCpGサイトのTOMの平均値からDMRネットワークを同定した。コントロールはドイツ人のデータ(GSE48325)を用いた。NAFLDで同定した610のDMRは2個のネットワーク(NW1、NW2)を形成した。NW1は34のDMRから形成されPEMTなどの代謝関連遺伝子上に存在し、線維化の進行とともにメチル化レベルが増加した。NW2は28のDMRから形成され転写調節(ZBTB38、TLE3、CASZ1)や細胞骨格調節(FMN1、RHOD、ARHGEF25)に関連する遺伝子、RhoAシグナル系の遺伝子(ADGRG1、CASZ1)、細胞増殖(TIMP2、ITGA3)、がん遺伝子(AGRN)に存在していた。これらのメチル化レベルは線維化、年齢、空腹時血糖と強い相関を認めた。コントロールではNW1は認められず、NW2にみ認められメチル化レベルは年齢と強く相関した。減量でメチル化レベルの可逆性が認められたDMRはNW1に存在し、NW2には可逆性のあるDMRは存在していなかった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Sci Rep
巻: 8 ページ: 13567-13577
10.1038/s41598-018-31886-5