研究課題
メタボリックシンドロームにおけるサルコペニアに関する研究は、大阪大学医学部附属病院内分泌代謝内科及び川崎病院糖尿病内分泌内科に入院した症例を対象に評価を行っている。主に筋肉量や筋力を測定するとともに代謝パラメーターや骨密度、血中アディポネクチン値などとの相関関係を解析している。現在約130名エントリーしており、今後も症例数を増やしながら解析を行っていく。末梢血遺伝子発現プロファイルの解析の1つとして、住友病院内分泌代謝内科入院症例(代謝異常非合併肥満者、耐糖能障害症例)を対象に解析を行った。本検討は、全例腹部CTによる内臓脂肪及び皮下脂肪面積を定量評価できている点において極めて精度の高いものである。結果、内臓脂肪は1,354個の遺伝子プローブの発現に影響を与えるのに対し、皮下脂肪や体格指数(BMI)は全く末梢血遺伝子発現に影響を与えなかった。また、年齢あるいは性別は、それぞれ625個、52個の遺伝子プローブ発現に影響することを示した。特に内臓脂肪蓄積に伴い、KLF10の発現が顕著に減少しており、メタボリックシンドローム発症病態における新たな分子を見出した。さらに、Gene ontology解析の結果、炎症、酸化ストレス、免疫応答、脂質代謝や糖代謝に関連する遺伝子群への影響は、内臓脂肪は約20-30%の遺伝子に影響するのに対して、皮下脂肪は3-5%しか影響を与えないことも明らかにした。以上、論文報告を行った。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (5件)
Cardiovascular Diabetology
巻: 15 ページ: 159-159