研究課題
【目的】マクロファージ特異的増殖抑制モデルマウスを用いて、耐糖能異常や肝脂肪蓄積におけるマクロファージ増殖の意義について検討した。【方法】スカベンジャー受容体遺伝子のプロモーター制御下にサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27kipを発現し、マクロファージ特異的に増殖を抑制するトランスジェニックマウス (mac-p27Tg) を作成した。10週齢のWild typeマウス (WT群) とmac-p27Tgマウス (Tg群) に対して、10週間、高脂肪食を負荷した。15週齢においてipGTT、18週齢においてipITTを施行した。20週齢において高インスリン血症正常血糖グルコースクランプを施行した。精巣周囲脂肪及び肝臓を採取し、脂肪組織及び肝臓の組織学的変化の評価を行った。【結果】ipGTTでは、WT群と比しTg群で負荷後60、90、120分の血糖値は有意に低値であった。負荷前、負荷後15分、30分のインスリン値には有意差はなかった。ipITTでは、WT群と比しTg群で負荷後60、90、120分の血糖値は有意に低値であった。高インスリン血症正常血糖グルコースクランプでは、全身の糖利用率はWT群と比しTg群で有意に上昇し、肝臓での糖産生率はTg群で有意に低下、骨格筋の糖取り込み率はTg群で上昇傾向であった。精巣周囲脂肪において、増殖マクロファージはWT群と比しTg群で減少し、脂肪細胞の増大やCrown-like structure形成は、Tg群で有意に抑制された。肝臓において、増殖マクロファージはWT群と比しTg群で減少した。中性脂肪含有量はTg群にて有意に減少した。肝線維化面積はTg群にて有意に縮小した。【結論】マクロファージ増殖が脂肪組織および肝におけるインスリン抵抗性の発現やNAFLDの発症・進展に関与し、マクロファージ増殖制御がこれらの治療法開発に繋がる可能性を示した。
すべて 2018
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Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology
巻: 38 ページ: 994~1006
10.1161/ATVBAHA.117.310320
PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0191553
10.1371/journal.pone.0191553