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2016 年度 実施状況報告書

脳内fractalkine-CX3CR1シグナルの肥満病態における機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K09788
研究機関鹿児島大学

研究代表者

勝浦 五郎  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (20401226)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード学習記憶 / fractalkine / CX3CR1 / マイクログリア / ストレプトゾトシン / 海馬
研究実績の概要

中枢神経系の機能は、神経細胞とグリア細胞の相互作用によって調節されており、特に、グリア細胞の中でもマイクログリアが種々の中枢神経系機能障害に深く関わっていることが明らかになりつつある。特に、神経細胞から放出されるfractalkine(FRK)はマイクログリアに存在するCX3CR1受容体に作用し、神経細胞とマイクログリアのクロストークの重要な因子であると考えられ、最近、主要な中枢神経系機能(学習記憶、神経可塑性、神経変性、脳内炎症)の調節に関わっていることが報告されている。
糖尿病は認知機能の低下を伴う代謝性疾患である。そこで、本研究課題で、ストレプトゾトシン(STZ)投与による1型糖尿病モデルマウスの学習記憶障害における海馬のFRK-CX3CR1シグナルについて検討した。STZ投与により学習記憶障害、血中コルチコステロンレベルの有意な増加および血中IGF-1の有意な減少が認められ、海馬でのFRKおよびCX3CR1発現の有意な減少が認められた。さらに、正常オスマウスにCX3CR1のアンタゴニストである18aを側脳室内投与すると著明な学習記憶障害が誘発された。Dexamethasoneの適用によって、初代培養神経細胞のFRK mRNA発現は変化せず、初代培養マイクログリア細胞のCX3CR1 mRNA発現は有意に減少した。IGF-1を適用したところ、初代培養神経細胞のFRK mRNA発現および初代培養マイクログリア細胞のCX3CR1 mRNA発現の有意な増加が認められた。次に、正常オスマウスの皮下にDEXを投与すると、血中IGF-1の有意な減少と海馬でのFRKおよびCX3CR1 mRNA発現の有意な減少が認められた。これらのことから、1型糖尿病モデルマウスの学習記憶障害に海馬のFRK-CX3CR1シグナルの低下が関与する可能性が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ストレプトゾトシン投与の1型糖尿病モデルマウスの解析が順調に進み、fractalkine-CX3CR1 signalingの学習障害に関わる役割を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

(1)高脂肪食摂取時の脳内炎症の調節にfractalkine-CX3CR1 signalingがどのようにかかわっているのかを検討する。
(2)Fractalkine-CX3CR1 signalingの摂食調節に及ぼす作用を検討する
(3)報酬系でのfractalkine-CX3CR1 signalingの作用を検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Brain-specific natriuretic peptide receptor-B deletion attenuates high-fat diet-induced visceral and hepatic lipid deposition in mice2016

    • 著者名/発表者名
      Yui Yamashita, Nobuko Yamada-Goto, Goro Katsuura, Yukari Ochi, Yugo Kanai, Yuri Miyazaki, Koichiro Kuwahara, Naotetsu Kanamoto, Masako Miura, Akihiro Yasoda, Kousaku Ohinata, Nobuya Inagaki, Kazuwa Nakao
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 81 ページ: 38-50

    • DOI

      http://doi.org/10.1016/j.peptides.2016.03.014

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 高脂肪食摂取および絶食-再摂食による視床下部のfractalkineおよびCX3CR1の発現変化2016

    • 著者名/発表者名
      河村菜実子、勝浦五郎、森永明倫、浅川明弘、乾明夫
    • 学会等名
      第37回日本肥満学会
    • 発表場所
      東京ファッションタウンビル(東京都江東区)
    • 年月日
      2016-10-07 – 2016-10-07
  • [学会発表] 食事性肥満による脳内炎症に対するfractalkine-CX3CR1シグナルの作用2016

    • 著者名/発表者名
      河村菜実子、勝浦五郎、森永明倫、浅川明弘、乾明夫
    • 学会等名
      第13回GPCR研究会
    • 発表場所
      日本科学未来館、未来館ホール(東京都江東区)
    • 年月日
      2016-05-13 – 2016-05-14
  • [学会発表] マイクログリアでのLPSによる炎症官能に対するfractalkine-CX3CR1シグナルの作用2016

    • 著者名/発表者名
      河村菜実子、勝浦五郎、森永明倫、浅川明弘、乾明夫
    • 学会等名
      第89回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市)
    • 年月日
      2016-04-21 – 2016-04-23

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公開日: 2018-01-16  

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