研究課題/領域番号 |
16K09796
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
浦野 友彦 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学医学部, 教授 (20334386)
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研究分担者 |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フレイル / 骨代謝マーカー / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
近年わが国では、要介護の前段階をフレイルと呼び、早期にフレイルを見出し、介入することで健康長寿を目指すことが注目されている。申請者らはフレイルを早期に発見するため、フレイルの要因となるロコモーティブ症候群とメタボリック症候群に関与する液性因子の作用を明らかにすることを本研究の目的とする。平成28年度には臨床サンプルを用いて糖尿病をはじめとした生活習慣病に関与する骨代謝マーカーを探索した。非血縁日本人閉経後女性を対象とした。経過観察開始時の骨密度、体重ならびに骨代謝マーカー、HbA1cをはじめとした血中、尿中マーカーを測定した。経過観察中は年に一回以上HbA1cを測定し、HbA1cが6.5%以上となった症例では空腹時血糖、もしくは随時血糖を測定し、診断基準にしたがって糖尿病の診断を行った。本検索により骨代謝マーカーを用いた新規の糖尿病発症予測方法を見出した。今後、より多くの集団を対象とした研究が行われることで糖尿病発症に関与する骨代謝マーカーのカットオフ値が設定されることが期待される。今後本研究を発展させることでフレイルの新規バイオマーカーが見出されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フレイルの原因となる骨粗鬆症に関与する液性因子が骨粗鬆症以外の生活習慣病にも関与する可能性を見出しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降はさらにフレイルに関与する新規液性因子とフレイルの予測因子の探索を行う。研究代表者らが構築したコホートデータベースを用いて新規疾患関連液性因子の血中、尿中濃度の測定を行い、疾患発症ならびに疾患の進行との関連を解析する。研究代表者らは近年、Wntシグナル伝達の阻害因子であるスクレロスチンの血中濃度を測定した結果、この血中濃度が骨粗鬆症関連マーカーのみならずメタボリック症候群関連マーカーとも関連することを世界に先駆けて報告した(Urano et al. J. Clin. Endocrinol. Metab. 97, E1473-E1437, 2012)。そこで、今回の集団においてスクレロスチンの血中濃度の測定を行い、同様に疾患発症ならびに疾患の進行との関連を解析するスクレロスチン以外にも骨芽細胞から分泌されるオステオカルシンなどの液性因子、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンを代表とするアディポカイン、さらには筋芽細胞から分泌されるマイオスタチンを代表とするマイオカインなどの血中濃度を測定し、骨粗鬆症、変形性関節症、サルコペニア、肥満、脳血管障害、糖尿病といったフレイルに関与する疾患を予測する血中マーカーを探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費、人件費を中心に初年度予定額を使用しない中で成果が得られたため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費、ならびに旅費に使用し、フレイルに関する血中マーカーの測定や、研究成果を海外学会で発表。ならびに新規に海外での共同研究を行うための物品費、ならびに旅費として使用する。
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