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2018 年度 実施状況報告書

健康長寿を目指したフレイルに関与する新規内分泌因子の探索と同定

研究課題

研究課題/領域番号 16K09796
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

浦野 友彦  国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (20334386)

研究分担者 井上 聡  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード骨粗鬆症 / フレイル
研究実績の概要

近年、高齢者が要介護となる前段階は「フレイル」と呼ばれ注目されている。フレイルは健常な状態に復帰できる可逆性を有していることからフレイルの状態を早期に見出すことは重要である。骨粗鬆症、変形性関節症、さらには筋肉の減少であるサルコペニアに代表されるロコモーティブ症候群ならびに肥満に代表されるメタボリック症候群はフレイルの要因として重要である。超高齢社会を迎えている我が国においては、早期にフレイルを見出し、介入することで健康長寿を目指すことが注目されている。申請者らはフレイルの要因となるロコモーティブ症候群とメタボリック症候群に関与する液性因子との相互作用を明らかにすることを本研究の目的とし研究を開始した。平成28、29年度では、フレイルを構成する高齢者の体重減少に関して、骨粗鬆症治療薬であるラロキシフェンが体重減少を抑制することを見出し、本研究テーマの礎となるデータを報告していたが、平成30年度では、フレイルを構成する高齢者の体重減少に関して、日本で最も広く用いられている骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネートが体重減少を抑制することを見出し、本研究テーマを発展させた(Urano et al. J Bone Miner Metab 2018)。一方、骨粗鬆症の診断において骨代謝マーカーとして用いられているオステオカルシンが生活習慣病の一つである糖尿病発症の予測因子であることを世界に先駆けて報告した(Urano et al. J Bone Miner Metab 2018)。さらに高齢者女性に多く発症する子宮体癌においてはEfpタンパクが炎症を惹起させて、その発症と進展を制御することを見出した(Sato, Urano et al. PLoS One 2018)。このように本研究課題は高齢者のフレイルに関与する分子機構を多岐にわたって解明した。今後の高齢者医療への応用が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究ではフレイルの要因となるロコモーティブ症候群とメタボリック症候群に関与する液性因子との相互作用を明らかにすることを本研究の目的とし研究を行なっている。現在までにフレイルを構成する高齢者の体重減少に関して、骨粗鬆症治療薬であるラロキシフェンならびにビスホスホネートが体重減少を抑制することを見出した。さらに骨粗鬆症の診断において骨代謝マーカーとして用いられているオステオカルシンが生活習慣病の一つである糖尿病発症の予測因子であることを世界に先駆けて報告している。これら発見に加えて、高齢者において多く発症する子宮体癌の発症、進展のメカニズム、ならびに炎症を亢進させる分子としてEfpタンパクを同定している。以上より本研究は、ほぼ目的通りにフレイルの予防やフレイルの進行に関与する因子を見出しており順調に進行している。

今後の研究の推進方策

現在までにフレイルを構成する高齢者の体重減少に関して、骨粗鬆症治療薬であるラロキシフェンならびにビスホスホネートが体重減少を抑制することを見出した。さらに骨粗鬆症の診断において骨代謝マーカーとして用いられているオステオカルシンが生活習慣病の一つである糖尿病発症の予測因子であることを世界に先駆けて報告したことに加え、高齢者において多く発症する子宮体癌の発症、進展のメカニズムにおいてEfpタンパクによる炎症の亢進が重要であることを見出している。今後はこれまでの発見を応用し高齢者の活動性低下を早期に発見するため、フレイルの構成要因である握力低下や歩行能力低下に直接関与する因子を細胞、動物実験とコホートスタディを用いて検討していく。

次年度使用額が生じた理由

体内老化産物である最終糖化産物(AGE)を測定するAGEsセンサシステムならびに新たな施設でも体組成計を使用するため追加でタニタ 業務用マルチ周波数体組成計を購入し、追加データ解析を行ったため次年度使用額が生じた。
施設利用を行なっている高齢者の最終糖化産物量ならびに体組成を測定し、サルコペニア発症に関連するバイオマーカーの探索を行う研究計画とした。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] ワシントン大学医学部(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ワシントン大学医学部
  • [雑誌論文] Low serum osteocalcin concentration is associated with incident type 2 diabetes mellitus in Japanese women2018

    • 著者名/発表者名
      Urano Tomohiko、Shiraki Masataka、Kuroda Tatsuhiko、Tanaka Shiro、Urano Fumihiko、Uenishi Kazuhiro、Inoue Satoshi
    • 雑誌名

      Journal of Bone and Mineral Metabolism

      巻: 36 ページ: 470~477

    • DOI

      10.1007/s00774-017-0857-0

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Bisphosphonates prevent age-related weight loss in Japanese postmenopausal women2018

    • 著者名/発表者名
      Urano Tomohiko、Shiraki Masataka、Kuroda Tatsuhiko、Tanaka Shiro、Urano Fumihiko、Uenishi Kazuhiro、Inoue Satoshi
    • 雑誌名

      Journal of Bone and Mineral Metabolism

      巻: 36 ページ: 734~740

    • DOI

      10.1007/s00774-017-0891-y

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Efp promotes in vitro and in vivo growth of endometrial cancer cells along with the activation of nuclear factor-κB signaling2018

    • 著者名/発表者名
      Sato Wataru、Ikeda Kazuhiro、Urano Tomohiko、Abe Yayoi、Nakasato Norie、Horie-Inoue Kuniko、Takeda Satoru、Inoue Satoshi
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 13 ページ: e0208351

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0208351

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] TRIM25 enhances cell growth and cell survival by modulating p53 signals via interaction with G3BP2 in prostate cancer2018

    • 著者名/発表者名
      Takayama Ken-ichi、Suzuki Takashi、Tanaka Tomoaki、Fujimura Tetsuya、Takahashi Satoru、Urano Tomohiko、Ikeda Kazuhiro、Inoue Satoshi
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 37 ページ: 2165~2180

    • DOI

      10.1038/s41388-017-0095-x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The development of pneumothorax in an elderly woman during treatment for nontuberculous mycobacterium2018

    • 著者名/発表者名
      Ando Katsutoshi、Ishii Masaki、Yonenaga Akihiko、Shibasaki Koji、Yamaguchi Yasuhiro、Urano Tomohiko、Ogawa Sumito、Akishita Masahiro
    • 雑誌名

      Nippon Ronen Igakkai Zasshi. Japanese Journal of Geriatrics

      巻: 55 ページ: 136~142

    • DOI

      10.3143/geriatrics.55.136

    • 査読あり
  • [学会発表] Relationship between Mini-Nutritional Assessment short form and body composition in daycare service center2018

    • 著者名/発表者名
      Takahiro SHIBA, Tamae SATO, Yohei SAWAYA, Masahiro ISHIZAKA, Akira KUBO, Kaori SADAKIYO, Akihiro YAKABI, Ko ONODA, Hitoshi MARUYAMA, Tomohiko URANO
    • 学会等名
      ACPT Congress 2018 (アジア理学療法学会)
    • 国際学会
  • [学会発表] 教育講演:骨粗鬆症・フレイル2018

    • 著者名/発表者名
      浦野友彦
    • 学会等名
      第83回日本泌尿器科学会東部総会教育講演
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本骨代謝学会学術賞受賞講演:遺伝学ならびに老年医学からみた骨代謝研究2018

    • 著者名/発表者名
      浦野友彦
    • 学会等名
      第36回日本骨代謝学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] シンポジウム:高齢者における骨代謝の変化が他臓器に影響を及ぼす疫学データの解析2018

    • 著者名/発表者名
      浦野友彦
    • 学会等名
      第18回日本抗加齢医学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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