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2018 年度 実施状況報告書

Gタンパク質共役受容体の新しいシグナル調節と分子異常による疾患の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K09797
研究機関東京大学

研究代表者

槙田 紀子  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60353455)

研究分担者 間中 勝則  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10700495)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードGPCR / biased agonism / Ca感知受容体 / V2受容体
研究実績の概要

GPCRと疾患をテーマに、まれな内分泌疾患であってもそのメカニズムを解析することによって普遍的なメカニズムを明らかにするという視点で研究を遂行している。
〇Ca感知受容体自己抗体による機能選択的活性化 (biased agonism)
後天性低カルシウム性高カルシウム血症(AHH)患者由来モノクローナル抗体の精製をめざした試みを遂行している。AHH患者から採取した全血からB細胞を単離する際に、Ca感知受容体の細胞外ドメイン精製タンパクに反応する細胞をソートする方法を試みたが、目的のクローンは得られなかった。新規AHH症例として、多くの大学・病院と連携をとりながら尿中Caとの乖離を伴う高Ca血症をメルクマールに検索を続けている。この1年間で新規に2例のAHH患者を診断し、自己抗体の作用の詳細を検討中である。副甲状腺機能亢進症患者から摘出した副甲状腺から副甲状腺上皮細胞単離し、条件が整った際にPTH分泌アッセイに用いることができるようになった。
〇V2バソプレッシン受容体変異体と作動薬の機能選択的調節
部分型腎性尿崩症患者ですでに同定している変異について変異体を作成し、細胞への過剰/安定発現系にて蛍光細胞免疫染色あるいは細胞表面ELISAで発現量と局在を、アゴニスト結合アッセイ、cAMPアッセイ、ERK1/2リン酸化を指標として検討を続けている。治療の可能性を視野に入れ、変異体に対する新たなV2受容体作動薬の作用機構についても解析し、アゴニスト薬剤シャペロン(agonist pharmacochaperone)としての新たな作用を発見し、2016年に論文として報告した。他の変異体に対しても作用の詳細を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

〇Ca感知受容体自己抗体による機能選択的活性化 (biased agonism):
Ca感知受容体のユニークな活性型をpositive allosteric modulatorとして安定化させるモノクローナル抗体作成を最終目標とし、AHH患者由来のB細胞を起点としてステップを踏みながら進めている。クローニング法を再検討中。
〇V2バソプレッシン受容体変異体と作動薬の機能選択的調節:
V2受容体変異による先天性腎性尿崩症に対する新たな治療戦略の可能性を最終目標とし、論文で報告した新たなV2受容体作動薬の作用につき検討を進めている。

今後の研究の推進方策

〇Ca感知受容体自己抗体による機能選択的活性化 (biased agonism):
AHH患者由来のB細胞を起点としてたモノクローナル抗体のクローニング法を再検討する。
〇V2バソプレッシン受容体変異体と作動薬の機能選択的調節:
潜在的な部分型腎性尿崩症患者に対して積極的に遺伝子診断を行い、変異の同定・解析・V2受容体作動薬の効果検討をおこなっていく。

次年度使用額が生じた理由

2019年2月に予定されていたGRC(Gordon Research Conference)が満席で出席できなくなったため。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Cinacalcet corrects biased allosteric modulation of CaSR by AHH autoantibody2019

    • 著者名/発表者名
      Makita Noriko、Ando Takao、Sato Junichiro、Manaka Katsunori、Mitani Koji、Kikuchi Yasuko、Niwa Takayoshi、Ootaki Masanori、Takeba Yuko、Matsumoto Naoki、Kawakami Atsushi、Ogawa Toshihisa、Nangaku Masaomi、Iiri Taroh
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 4 ページ: -

    • DOI

      10.1172/jci.insight.126449

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Molecular analysis and literature-based hypothesis of an immunonegative prostate small cell carcinoma causing ectopic ACTH syndrome2019

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Maki、Sato Junichiro、Manaka Katsunori、Tanaka Mariko、Matsui Hotaka、Sato Yusuke、Kume Haruki、Fukayama Masahisa、Iiri Taroh、Nangaku Masaomi、Makita Noriko
    • 雑誌名

      Endocrine Journal

      巻: 66 ページ: 547~554

    • DOI

      10.1507/endocrj.EJ18-0563

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bexarotene‐induced hypothyroidism: characteristics and therapeutic strategies2019

    • 著者名/発表者名
      Makita Noriko、Manaka Katsunori、Sato Junichiro、Mitani Koji、Nangaku Masaomi、Iiri Taroh
    • 雑誌名

      Clinical Endocrinology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/cen.13975

  • [雑誌論文] Urinary Iodine Concentration and Mortality Among U.S. Adults2018

    • 著者名/発表者名
      Inoue Kosuke、Leung Angela M.、Sugiyama Takehiro、Tsujimoto Tetsuro、Makita Noriko、Nangaku Masaomi、Ritz Beate R.
    • 雑誌名

      Thyroid

      巻: 28 ページ: 913~920

    • DOI

      10.1089/thy.2018.0034

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical guidelines for endocrine disorders associated with immune checkpoint inhibitors2018

    • 著者名/発表者名
      有馬寛、赤水尚史、今川彰久、影山和則、大月道夫、有安宏之、稲葉秀文、槙田紀子、岩間信太郎
    • 雑誌名

      Folia Endocrinologica Japonica

      巻: 94 ページ: 1~11

    • DOI

      10.1507/endocrine.94.S.November_1

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 内科からみた原発性副甲状腺機能亢進症2018

    • 著者名/発表者名
      槙田紀子
    • 学会等名
      第91回日本内分泌学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] The Influence of Aldosterone Values in the Tributary Veins of Unresected Adrenal Gland on Primary Aldosteronism Surgical Outcomes.2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Nakai, Yuya Tsurutani, Tomoko Takiguchi, Seishi Matsui, Kouzou Makita, Jun Inoue, Maki Nagata, Noriko Makita, Masaomi Nangaku, Jun Saito, Masao Omura, Tetsuo Nishikawa
    • 学会等名
      米国内分泌学会(ENDO)2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 新規脂肪分解薬の開発と機能解析2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤潤一郎、槙田紀子、間中勝則、三谷康二、江田真紀子、大和田智彦、 南学正臣、飯利太朗
    • 学会等名
      第91回日本内 分泌学会
  • [学会発表] パ シレオチドLARによるインスリン分泌能低下に対してGLP-1受容体作動 薬が著効した1例2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤潤一郎、槙田紀子、古家美菜絵、間中勝則、飯利太朗、南学正臣 パ シレオチドLARによるインスリン分泌能低下に対してGLP-1受容体作動 薬が著効した1例
    • 学会等名
      第91回日本内分泌学会
  • [学会発表] 非典型的進行性骨化性線維異形成症の一例2018

    • 著者名/発表者名
      間中勝則、槙田紀子、佐藤潤一郎、飯利太朗、南学正臣
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第63回大会
  • [図書] 診断力を上げる症例問題集(第10章代謝・内分泌総論)2019

    • 著者名/発表者名
      槙田紀子(分担)
    • 総ページ数
      974-977
    • 出版者
      南江堂
    • ISBN
      0022-1961
  • [図書] 最新医学 自己免疫の関与する内分泌代謝疾患の最前線2018

    • 著者名/発表者名
      槙田紀子(分担)
    • 総ページ数
      681-687
    • 出版者
      最新医学社
    • ISBN
      0370-8241
  • [図書] 内分泌代謝科専門医研修ガイドブック2018

    • 著者名/発表者名
      槙田紀子(分担)
    • 総ページ数
      41-43
    • 出版者
      診断と治療社
    • ISBN
      ISBN978-4-7878-2292-5

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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