研究課題/領域番号 |
16K09801
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 法一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30506308)
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研究分担者 |
西澤 均 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (20379259)
喜多 俊文 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (10746572)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アディポネクチン / T-カドヘリン / GPI-PLD / メタボリックシンドローム / 動脈硬化 / 糖尿病 / 肥満 |
研究実績の概要 |
(1)アディポネクチンのT-cadherinを介する抗動脈硬化作用・抗糖尿病作用の解明と生理動態解析 ApoE-KOマウスとT-cadherin欠損(Tcad-KO)マウスとの交配により、Tcad&ApoE-ダブルKO(Tcad&ApoE-DKO)マウスを作製し高コレステロール食を負荷した。Tcad&ApoE-DKOマウスは、ApoE-KOマウスに比して有意に動脈硬化が進展していた。頸動脈結紮モデルでも、Tcad&ApoE-DKOマウスは、ApoE-KOマウスに比して内膜・中膜比が有意に増加していた。以上、アディポネクチンはT-cadherinを介して抗動脈硬化作用を発揮することを明らかにした(FASEB J. 2017)。さらに、T-cadherinの細胞外ドメイン1~5をそれぞれ欠失させた変異を作製し、BIACOREを用いて検討した結果、細胞外ドメイン1及び2がアディポネクチンとの結合に必須のドメインであることを示した(JBC. 2017)。また、アディポネクチンとT-cadherinの結合解離定数KD値は1.0 nMであり、T-cadherinと結合する血清中タンパクとしてはアディポネクチンのみであることを明らかにした(JBC. 2017)。 (2)GPI-PLDを介するアディポネクチン蛋白の組織および血中レベルでの調節機構とその生理的意義 GPI-PLD欠損マウスを樹立し高脂肪高ショ糖食負荷を実施、主に耐糖能や脂肪肝に関して検討を進めている。 (3)生体イメージングを駆使したアディポネクチンの動態生理学の解明 アディポネクチンを蛍光標識したアデノウイルス(Ad-tdTomato-Adipo)を作製し、マウスに投与し生体イメージングを行ったところ、血管内に蛍光標識されたアディポネクチンを検出することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題もなく、マウスならびに細胞実験も当初の計画通り順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
アディポネクチンのT-cadherinを介する抗糖尿病作用について、T-cadherin欠損(Tcad-KO)マウスに高脂肪高ショ糖食負荷やSTZ投与を行い、それぞれの糖尿病モデルにおいて検討を進めていく。アディポネクチンとT-cadherinの結合様式について、さらに分子レベルで検討を進め、共結晶解析を行えるレベルにまで結合に必須の部位を絞り込んでいく。 GPI-PLD発現アデノウイルスならびGPI-PLD欠損マウスを用いて、糖尿病や脂肪肝(NAFLD/NASH)とGPI-PLDとの関連を明らかにしていく。 蛍光標識されたアディポネクチンを用いて、in vitro及びin vivoにおけるアディポネクチンの動態を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、マウスの生理実験が多く実験試薬に要する費用が少なかったため、次年度に繰り越すこととした。平成30年度は、本助成の最終年度でもあり、本研究を仕上げていく上でより多くの動物実験費用ならびに実験試薬費用が必要となり、予定額よりも多くの支出が見込まれる。
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