研究課題
TERTプロモーター変異とKi-67 Labeling Indexを組み合わせた分子診断これまでにTERTプロモーター変異はPTCの予後規定因子であることを報告してきたが、これにKi-67 Labeling Indexを組み合わせることにより精度の高い分子予後診断が可能であることを報告した(Matsuse Sci Rep 2017)。甲状腺癌におけるTERTプロモーター変異のクローナリティの解析近年、甲状腺癌の中でも悪性度の高い低分化癌や未分化癌では全ての癌細胞にTERTプロモーター変異が検出される(クローナル)のに対し、悪性度の低いPTCでは一部の癌細胞にのみ変異が検出される(サブクローナル)ことが報告され、この変異と甲状腺癌の悪性転化との関連が示唆されている(Landa JCI 2016)。これまでこの変異の検出には主に通常のキャピラリー電気泳動を用いたサンガーシーケンス法が用いられてきたが、上述したクローナリティの問題を考えると従来の方法では検出できない微量な変異の存在が示唆される。以上のことから、本年度はPTCにおける微量なTERTプロモーター変異を検出する方法を検討した。予備実験としてデジタルPCR法により、サンプル中に存在する微量な変異の検出に成功した。さらにBRAF変異をがん細胞の指標とし、デジタルPCR法によってTERTプロモーター変異のクローナリティについて解析したところほとんどのPTCがサブクローナルであることがわかった。今後はこの変異のクローナリティとPTCの悪性度との関連について検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
BRAF及びTERTプロモーター変異がPTCの予後規定因子であることを明らかにしただけでなく、これにKi-67 Labeling Indexを組み合わせることにより精度の高い分子予後診断が可能であることを報告することができたため、おおむね予定通り進展していると考えられる。
基本的には、当初の予定通り研究を進める方針であるが、上述したPTCにおける微量なTERTプロモーター変異を含めたこの変異のクローナリティについて解析し、PTCの悪性度との関連についても検討したい。
BRAF及びTERTプロモーター変異とPTCの悪性度・予後との関連についての検討では、予定していたサンプル数よりも少ない症例数で十分な統計学的検出力を得ることができた。また、FFPEからのDNA抽出やダイレクトシークエンスは条件検討の結果、費用を大幅に抑えることができた。
前述したPTCにおけるこの変異のクローナリティについて解析するための物品費として使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
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