研究課題
これまでにPTCにおいてTERTプロモーター変異は同一腫瘍組織内の一部の癌細胞にしか存在しないことが報告されている。この変異の有無を術前に検討するためには、穿刺吸引細胞診と組み合わせる必要があるが、上述した理由から検体を採取する際に、変異陽性癌細胞が採取できない可能性がある。TERTプロモーター変異を術前診断における分子マーカーの1つとして利用可能か検討するため、術前の細胞診検体及び対応する術後の検体を用いてこれを解析し、その一致率を比較した。TERTプロモーター変異にはhot spotが2箇所あるが、一度に両方を区別することのできる核酸蛍光プローブを設計し、droplet digital PCR法にて高感度に変異を検出できる方法を開発した。この方法で解析した結果、55歳以上、96結節の術後病理標本では、変異陽性例は28例、変異陰性例は68例であった。96結節中10例は穿刺吸引細胞診に用いた針洗浄液中のDNA量が少なく判定不能とした。残りの86結節において、穿刺吸引細胞診では4例が偽陰性、1例が偽陽性と考えられ、検出感度は84.0%(21/25)、特異度は98.4%(60/61)、陽性的中率は95.5%(21/22)、陰性的中率は93.8%(60/64)であった。以上より術前の穿刺吸引細胞診にてTERTプロモーター変異の検索は有用であり、適切な治療法選択に応用できる可能性が示唆された。今回の研究結果から、研究当初の予想に反して同一腫瘍組織内におけるTERTプロモーター変異陽性細胞の割合が高いことが予想される。甲状腺乳頭癌のドライバー変異であるBRAF変異を癌細胞の指標として同一腫瘍組織内におけるTERTプロモーター変異陽性細胞の割合を検討中である。同時に術後病理標本をマイクロダイセクションにより分割し、この割合を検討することで、腫瘍のどの部分に変異を持った細胞があるのかを明らかにする。
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