研究課題/領域番号 |
16K09806
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
青木 一孝 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60336542)
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研究分担者 |
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40359609)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病 / DHEA / インスリン感受性 |
研究実績の概要 |
我々は、以前、副腎アンドロゲンのDehydroepiandrosterone (DHEA)が、肝臓糖新生系酵素glucose-6-phosphatase (G6Pase)を抑制し、肝糖放出を減少させることを報告した。その後、我々は、肝臓インスリンシグナル伝達系について検討を行い、肝臓PI3キナーゼp85αの役割について報告した。今回、DHEA、及びDHEAの次の代謝物であるAndrostenedione(A)の肝臓と筋肉におけるインスリンシグナル伝達を評価した。 最初に、8週齢雄のC57BL6(B6) マウス、Insulin receptor substrate (IRS)-1欠損マウス、IRS-2欠損マウスを2群に分け、Control群:高脂肪食のみ、DHEA群:0.2%DHEA含有高脂肪食をそれぞれ4週間投与した。次に、同B6マウスを2群に分け、Control群:高脂肪食のみ、A群:0.2% A含有高脂肪食をそれぞれ4週間投与した。そして、それぞれの肝臓・筋肉のAktリン酸化、筋肉のPKCζリン酸化を定量した。 B6、IRS-1欠損、IRS-2欠損マウスにおいて、DHEAにより肝臓のAktリン酸化は亢進した。B6マウスではAにより肝臓Aktリン酸化は亢進しなった。B6マウスにおいて、DHEAによる筋肉Aktのリン酸化は亢進せず、PKCζリン酸化は亢進傾向にあるものの有意差を認めなかった。IRS-1欠損、IRS-2欠損マウスにおいて、DHEAによる筋肉Akt、PKCζのリン酸化は亢進しなかったが、B6マウスにおいてAによる筋肉Akt、PKCζのリン酸化は亢進した。 DHEAは肝臓のインスリン感受性を亢進させ、これには少なくともIRS-1またはIRS-2のどちらかが存在すればよいことが示された。また、Aが筋肉のインスリン感受性を亢進させている可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝臓におけるDHEAのインスリン感受性亢進作用を明らかにし、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食負荷マウスにおいてDHEAの肝臓Aktリン酸化亢進作用が認められたことから、今後、初代培養肝細胞を用いてDHEAの抗糖尿病作用をさらに検討していく。また、KlothoマウスにDHEAを投与し、寿命延長効果が認められるかの検討も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画は平成28年度から平成30年度の3ヶ年計画であり、次年度(2年目)も引き続き研究を行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究実施計画に基づき、DHEAの生理作用の解明に必要な研究資源を購入する。
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